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かにの泡ぶく


2011-05-18 非常事態を拒否する本能。

_ 神奈川県、おまえもかっ!(11時05分記)

asahi.comからの引用です。

県、農家支援へ本腰 無利子融資も検討
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000001105180005
2011年05月18日

 県内6市町村の「足柄茶」の茶葉から法定の基準値を超える放射性セシウムが検出された問題で、黒岩祐治知事は17日、資金繰り対策など被害を受けた農家の支援に全力をあげる方針を明らかにした。東京電力に補償を求めていく姿勢も改めて強調した。
(省略)
 一方、県は厚生労働省が16日に生茶を乾燥させた荒茶も検査し、1キロ500ベクレル以上のものは流通させないように求めたことを問題視している。南足柄市産の荒茶では3千ベクレルを検出しており、出荷できない茶葉が今後増える可能性がある。

 17日夕、黒川雅夫副知事が急きょ厚労省と農水省を訪問。「乾燥させて重量が減った荒茶は生茶より値が高くなる(のが自然)」として、風評被害を避けるためにも見直すよう求めた。

また暫定基準値引き上げ要望かよ。

なんでこう、普通に考えたらすぐにわかるようなことが、非常時にはわからなくなってしまうんですかね。

当たり前ですが本来セシウムなんてものは、食べ物や飲み物にあってはいけないものなのです。それを、こういう状況だから仕方なしに設定されているのが暫定基準値。その暫定基準値ですら危ないと私は思っているのですが、それをさらに『この基準じゃ茶葉が出荷できないから基準値引き上げろ』とかいう発想は頭が完全に狂ってます。

例えば『ここに致死量の毒物が入った水があります。でも、倍に薄めれば致死量の半分になりますから大丈夫です』とか言われてその倍に薄まった水を飲みますか? 周囲にそれしか水が無く、しかし、もう今飲まないと脱水症状で死んでしまうというような非常事態であれば飲むかもしれません(私なら多分飲む)が、茶葉を取り巻く状況は、少なくともそんな緊迫した状況下での物資ではありません。他に代替できるものはいくらでもあるのです。

茶葉を乾燥させれば水分が飛びますから、相対的にセシウムの量が増えるのはそりゃ当たり前な話ですが、だからと言って乾燥茶にはセシウムが沢山入っていても安全だなんてどうして思えるんですかね。濃縮されるんだから余計に危なくなる可能性のほうが高いと思うのですが。

知事なり副知事なりがすべきことは、汚染された茶葉をなんとか流通させようと画策することでは無く、県が汚染茶葉を全量買い上げ、農家のみなさんの損害を填補し、その分を県から国や東京電力に損害賠償請求することです。

丹精込めて育てた茶葉を収穫しても捨てねばならない農家のみなさんのお気持ちは察するにあまりありますが、こればっかりは農家のみなさんや神奈川県民の誰が悪いわけでもない。一方的に汚染されてしまったわけですから仕方ありません。

_ 生茶葉から検出されるセシウムの謎。(21時40分記)

各方面で茶葉からセシウムが検出されておりますが、同時に発表されることのある飲用茶へのセシウム移行量について、どうも謎です。

茶葉のセシウム量はキロ当たりベクレルで測定されており、飲用茶は、茶葉10gを90度、430mlのお湯で60秒間浸出させて作られているようです。以下で取り上げた茨城県と静岡県での飲用茶がどちらもこの手法で作られております。これが標準プロトコルなのかどうなのかは不明です。

で、飲用茶のベクレルは、この430mlのお茶の持つベクレルを1000mlに換算して(すなわち、2.3256倍)公表しているようです。よって、茶葉10gから飲用茶に浸出したベクレルに換算するためには、飲用茶のベクレルを 1/2.3256 すればよいことになります。

まずはざくっと計算してみます。

茶葉に含まれるセシウムの飲用茶への移行量について
各数値は含まれるセシウム量(ベクレル)で、以下の順に並ぶ。  茶葉1kg, 飲用茶1000ml, 茶葉10g(計算値), 飲用茶430ml(計算値)
 茨城県大子町茶葉:570, 30 , 5.70, 12.8  茨城県境町茶葉 :894, 3 , 8.94, 1.28  静岡県菊川市茶葉:110, 4.32, 1.10, 1.85
数値の出所:  生茶葉から基準値超えるセシウム 県が出荷自粛要請(asahi.com)  http://mytown.asahi.com/areanews/ibaraki/TKY201105160593.html
 静岡茶葉からセシウム・・・健康影響ないレベル(YOMIURI ONLINE)  http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110512-OYT1T00299.htm

比較すべきは 茶葉10g(計算値), 飲用茶430ml(計算値) の値ですね。すなわち、茶葉10gから浸出された飲用茶430mlのセシウムのベクレルは、理論的に考えて茶葉10gのベクレルを超えることはあり得ないわけです。

5月13日の かにの泡ぶくで静岡茶の飲用茶へのセシウム移行について計算してみた時には、飲用茶中に含まれるセシウム量が元の茶葉よりも増加している件について、『セシウムは茶葉に均一に分布しないために、個々の茶葉間でセシウム含有量に、ばらつきがあるのではないか?』と考えました。10gって言ったら指で一摘みぐらいな量ですから、茶葉を取った場所でまぁこのぐらいの変動はあるだろうな〜というノリです。

ところが今回のデータ。茨城県境町の茶葉は、飲用茶への浸出量が減ってますからまだ納得できるのですが、茨城県大子町の茶葉はかなり増えてます。理論的最大値の2.2倍も増えているのです。

これは茶葉を取ったところによるばらつきと考えるにはチト大きすぎるような気がするのですがねぇ・・・

この茶葉10gの浸出検査って、サンプル数いくつぐらいなんでしょうね。問い合わせてみようかな。


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