2011-05-10 連休明け進行・・・_ 板挟みだったのかも中部電力。完全に私の素人妄想です。 本セクションは、5月7日の泡ぶく「中部電力は自分で浜岡原発全炉停止判断を行えなかったのか?」で書いた内容のその後の補足になります。 中部電力社内では、福島第一原発事故後に、浜岡原発を全停止しようという議論がかなりあったのではないかと推測したと考えたのは上記で書いた通りです。 その後いろいろ考えたのですが、実は、自分達も止めたくて止めたくて仕方が無かった。正確に言えば、止めるべきだ! という意見を持った役員が少なからず居たのではないかと思っています。 ところが止めるという判断を自律的には、出来なかった・・・ 非常に難しい・・・いや、シンプルに考えれば結論は明らかなのですが、それが出来ない事情というのも、正直言って私は理解できます。 苦悩です・・・株式会社としては。 現在の浜岡原発は、当然ですが中部電力が勝手に作って勝手に運用しているわけではありません。国の安全審査基準に合格した上で運用されているわけです。そして、今現在、故障や不具合が起きているわけでもない。正常に安定稼動しているわけです。少なくとも今現在は。 しかも、福島第一原発事故後に経産省の原子力安全・保安院から出された震災緊急対策を実施した結果、原子力安全・保安院からは「現状で対策に問題はない」「現状で安全性に問題はない」とされてしまったわけです。 こうなると中部電力の立場は微妙です。 国が安全だと言っているにも関わらず、中部電力の判断のみで『安全第一』『国民の生命と財産の保護』の観点から浜岡原発を全炉停止するという経営判断をしたら、それは果たして合理的な判断と言えるのか。さらには、会社の利益を自ら損失させたとして株主代表訴訟を起こされる可能性も非常に高いです。この場合、裁判になったらどうなる可能性が高いのか。私は法律の専門家ではありませんからなんともコメントできませんが、国が安全と言っている以上、これに疑義を挟む判断をした中部電力の姿勢を裁判官がどう判断するか。私には裁判官が、中部電力の判断と主張が合理的と認める判断を下すと確信するだけの根拠がありません。 5月7日の泡ぶくでは、『福島第一原発事故の状況を鑑みれば、事故を未然に防ぐ観点からの経営判断は裁判で争ったとしても主張は充分認められるでしょう。』と一旦は思って書きましたが、しかしそれでも国が現状安全で問題ないと言っている時点での浜岡原発においては、そんな理論が100%通用するとは言い切れません。過去を紐解いて見れば、私から見れば『それって絶対おかしいよな』と思う判例に事欠きませんから。 今、世界で最も危険と言われている浜岡原発。自分達で安全のために止めたいと思ったとしても、国が安全だと言っているがために止めることができない。 おかしな話です。 やはり今の日本の電力事業を取り巻く構造は破綻してます・・・と思います。 今の日本政府がそこまで思慮深く賢いのかは甚だ疑問ですが、今回の日本政府からの浜岡原発停止要請は、そんな中部電力社内の事情をも察知しての政治判断だったのかもしれません。 だとしたら、日本政府の対応、今回ばかりはさすがな対応だと、褒めてあげていいと思います。政治パフォーマンスだとか言っているアホも居るようですが、今回ばかりは私はそうは思いません。パフォーマンスしようと思えば他にいくらでもネタはあります。そこをあえて、浜岡原発に踏み込んだというのは純粋な判断だったのだと思うのです。 純粋な判断だからこそ、不純な連中から文句言われているんでしょう。まぁいいです。そんなのきっと想定の範囲内。 本来であれば原子力安全・保安院から『福島第一原発の事故を踏まえ、従来の震災想定は全く通用しなくなった。よって、直近に最大の震災リスクが迫っている浜岡原発の停止を要請する』とかいう類の判断が早々に下されるべきところ、電源車を少し多めに配備しただけで「対策に問題はない」とかしちゃうあたり、すでに全く機能していませんね原子力安全・保安院は。 一部の所謂『専門家』や『財界人』は今回の管総理からの浜岡原発停止要請についていちゃもんをつけ、『原子力安全・保安院に見解を仰ぐべきだ』とか言ってる人もいるようですが、電源車を少し多めに配備しただけで「対策に問題はない」って言いきっちゃうところに再度見解を仰ぐなんてのは、私から見たって時間の無駄だとすぐにわかります。 もし今日にも東海地震が来て、少し多めに配備した電源車が全部巨大津波に流されて電源全喪失で冷温停止に失敗して放射能漏れ起こしたらまた『想定外』で済ませるつもりなんですかね。 ・・・・・ 日本政府からの要請に対して迅速に浜岡原発停止を決定した中部電力の姿勢を賞賛する声を多く聞きますが、私は上記の通り、もっと複雑な心境で居ます。 性善説というか、人類共存、国家と国民の安全は最優先という見地に立ってみなが物事を考え、判断できるのであればこんなややこしい板挟みに苦しむことなどないわけです。 発電事業者を株式会社として運用するのであれば、事業者が自らの判断で、会社の利益を喪失させる可能性があっても、社会、公共の安全を考えた場合の対策を講じることができる手段をなんらかの方法で用意する必要があると思います。 本当はそんなとき、適切な指示監督を行うための政府機関が原子力安全・保安院なハズなんですが。 もっと読みたい奇特なかたは、↓の読みたい月をクリックしてね。 |
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横須賀基地の安全確保のために、アメリカから要請があったという話もあるようですよ。<br><br>株主代表訴訟ですかぁ・・・いやはや。
どうなんですかねぇ・・・まぁ、そうかもしれませんしそうでないかもしれませんが、私は、アメリカからそのような要請があった可能性は、少なくともこのタイミングでは限りなく無いと思っています。そこまで穿った見方はさすがに・・・<br><br>3月21日のお昼にジョージ・ワシントンが横須賀から緊急出航という名の避難をした際には少し焦りましたが・・・ ちょうど放射能雲が横須賀にかかってきたのが3月21日の11時ごろ( ttp://www.kani.com/diary/aoki_data/20110321_2300.gif )。これはいろんな意味でさすがとしか言いようがありません。<br><br>株主代表訴訟については、本当に先を見れる賢い株主なら、むしろ『なんですぐ浜岡原発を止めないんだ! 危険すぎる!』って言うと思うんですけどね。<br><br>少なくとも私が株主だったなら、そう思います。<br><br>会社が抱える潜在リスクを考えてももちろんですが、そんなことよりなにより、もう来るといわれている東海地震を踏まえれば、社会に、国家に、国民にいやおう無しに浜岡原発リスクを突きつけ続けるなんてことは、企業として許される行為ではありません。<br><br>まともな経営者なら、電力会社はどこも脱原発に舵を切るでしょう。<br>まともな株主なら、脱原発という経営判断を支持するハズです。<br><br>と信じたい。