2011-05-07 新しい日本の夜明け?!_ 浜岡原発全炉停止要請について考えてみる。まずはじめに、昨夜自ら記者会見で発表した菅直人首相の中部電力に対する浜岡原発全炉停止要請については、その英断に敬意を表したいと思います。 どんな理由があるのであれ、今まで安全神話を前提に推進しかしてこなかった国の原発政策を振り返り、一旦立ち止まる判断をしたことは極めて画期的と思います。久しぶりに(本当に久しぶりですよね)国民の意向が反映された政治的判断が下されたことについては、素直に喜びたいと思います。 が、一方で、どうにも後味の悪さを感じている私です。そのことについて、少しだけ以下に書いてみたいと思います。 今も考え中なテーマですので、今後以下に書いた私の印象、見解は修正変更される可能性が大いにある点をお含み置きください。 _ 中部電力は自分で浜岡原発全炉停止判断を行えなかったのか?(5月7日 09:55記)結果的に止まることになったので結果オーライなのですが、まさに結果オーライな今回の日本政府からの浜岡原発全炉停止要請。ひとつこう私として気に食わない点があるとするならば、『政府の力が民間企業の経営判断に干渉した』という点です。 誤解無きよう繰り返し言いますが、私は、3月11日以降に何度か書いているとおり、浜岡原発は即時停止すべきと思っていた人間ですので、今回の一連の流れはもちろん歓迎するものです。しかし一方で、自己の責任を全うしつつ自由な生き方を愛する私にとって、外部からの干渉圧力というものは、もっとも忌み嫌うべきものであり徹底して戦う対象でもあるのです。 中部電力は先月下旬に公表した2012年3月期の業績予測で、現在休止中の浜岡原発3号機を夏までに再稼動させる旨明記してきました。これを見たときには 『頭が完全に狂っとるな』 と思ったものです。防潮堤を新設するとか言ってますが、あらゆる想定が無駄であることは福島第一原発事故を見れば明らかです。そんなことしても自然災害に立ち向かえないことがわかっていながら稼動継続させること自体が異常な判断なのですが、その無力な防潮堤だって今夜に完成するものではありません。もう、今来てもおかしくないと言われている東海地震の脅威がありながら、なぜ全炉停止判断が出来ないのか? というのは私の素朴な疑問でした。 原発を停止しても電力不足にならないことは、もう明らかなことですから電力不足は理由にはなりません。 やはり発電コストなのでしょうか。事故が起きさえしなければ、廃炉コストを考えなければ、確かにしばらくの間は安いコストで電気を起こせるでしょう。ゆえに、原発稼動は、当面は中部電力の利益率に貢献し、株価も安定です。 仮にもし私が中部電力の役員だとしたらどう考えるか。やはり、安全が完全に担保できず、東海地震への対策も不十分な状況を見れば、まずは一旦、浜岡原発全炉停止を提案すると思います。 そうなると火力水力の稼働率を上げねばならず、発電コスト上昇に伴い会社の利益は減少します。そのことで株主から訴訟を起こされる可能性は無いとは言えません。しかし、福島第一原発事故の状況を鑑みれば、事故を未然に防ぐ観点からの経営判断は裁判で争ったとしても主張は充分認められるでしょう。そもそも、原発事故は会社の損害云々のレベルの話ではなく、日本国、国民の生命と財産と未来を脅かすレベルの脅威なわけですから。 普通に考えれば福島第一原発事故後、直ちに浜岡原発全炉停止へむけての検討が社内では行われているハズです。しかし、停止判断は社内ではされず、現状に加えて今夏までに現在停止中の3号機をも動かすという判断に至ったのです。 それが、日本政府の要請を受けて、あっさり全炉停止を受け入れるというではありませんか。 もちろんここで、『中部電力としては日本政府の要請を拒否する。浜岡原発3号機は予定通り7月に再稼動させ、夏場の電力の安定供給に向け最大限努力する。』 とか言っても狂気扱いされるだけで誰の賛同も得られないとは思いますが、一度はこの状況下において停止どころか現在停止中の3号機をも動かすという経営判断を下したその理由が実に希薄だったということが、わかります。 止めようと思えば、いつでも止められたのです。 それをなぜ、自分達で止める判断ができなかったのか。 日本政府からの停止要請を待つことになってしまったのか。 そして、日本政府から要請されれば、あっさり受け入れて全炉停止する。 いよいよもってこれ日本のエネルギー政策だけでなく、電力事業が持つ形態(= 独占保護されまくりで競争無いくせに株式会社)の破綻が露呈してしまったのだと感じるとともに、なにかとてつもない大きな「何か」が、原発にはつきまとっているのだろうなと思っています。 _ 復興支援計画も早めにお願いね。浜岡原発全炉停止要請は大きな事件ですが、やらねばならない沢山あることがらのうちの一つであることも事実です。国からの地方自治体への支援計画についても、早急に決める必要があります。 なんせもう、東日本大震災発生して二ヶ月が経とうとしているのに、具体的な支援策がまるで見えてきません。 被災地の情報や報道も、主要なメディアでは東北三県の沿岸部に集中していますが、沿岸部だけでなく内陸部や東北三県以外の地域でも、大きな被害を受けているところは沢山あるはずです。いっつも思うことなのですが、日本の主要メディアはどうしてこう偏った報道しか出来ないのかなぁ。なにか起きれば全局同じ地域の映像ばかり。関東圏で言えば地上波VHFの民放だけで5局もあるのだから、お互い分担してあちこち広い範囲を網羅できるように情報収集して伝えようって動きは無理なんですかね・・・無理なんですね、きっと。今のような状態であれば、有事の際のニュース番組は、正直1局で充分です。というか、くだらないというよりも腹立たしいシーン(被災者へのインタビュー等で)ばかりが目立つので、民放はすっかり見なくなりました。その点NHKは、まだ随分・・・多少はマシですので、ウチの場合、有事の際にはNHKです。 なんてこんなところで愚痴っていてもどうにもならないのですが、とにかくだ。被災地への復興支援計画をさっさと進めて欲しいところであります。 以下は個人的な考えなのですが、日本政府は復興構想会議なんてのをはじめて、例えば宮城県は、津波に強い街にするとかで商業区域、酪農区域、住居区域とわけて住居区域は高台に置くとかいろいろ考えているようですが、私が宮城県人だったらそんなのは余計なお世話だ。自分らのことは自分らで考えるから、国は、具体的にどういう形でどの程度の規模の支援を、いつ、どういうタイミングでやってくれるのか、こちらの要望はどの程度受け入れてくれるのか早く教えてくださいお願いしますって、思います。 もちろん国から支援する以上は国と地方自治体とのネゴは必須だと思います。が、復興の基本構想は国が決めるものでは無く、その場所に昔から住んでいた人々が集まって、地方自治体が中心となって決めるべきだと思うのです。 国の役割は、地方自治体への充分な復興支援です。具体的な復興案にまで手出しするのは過剰干渉でしょう。 もちろん、当の地方自治体から協力要請があれば話は別ですよ。 _ 中部電、浜岡原発停止向け協議入り 結論は持ち越し。(5月7日 21:30記)asahi.comより引用です。
中部電、浜岡原発停止向け協議入り 結論は持ち越し。 昨夜の各新聞社のWebならびに今日の朝刊では、もれなく「浜岡原発全炉停止要請を中電は受け入れる見込み」という報道でしたから、『まぁそりゃそうだよな〜』って私もあっさり追認した次第ですが、どうもそう簡単にコトは進まないようで・・・ この期に及んで日本政府からの浜岡原発全炉停止要請を拒否するだけの合理的理由なぞ、どこをどう探してもあるハズが無いのですが、なんというぐだぐだな臨時取締役会なのでしょう。 この状況下で、中部電力の経営陣が日本政府からの浜岡原発全炉停止要請に基づき行った臨時取締役会で、停止判断が出来なかった理由を私なりに考えてみました。
ぐらいしか思いつきませんが、そんな悠長なことを言ってられる状況では無いということを、当の本人達が全く認識していないという点が最大の問題でしょう。 どんな人間でも、完璧ということはあり得ません。誰だって間違いは起こしますし、人知の及ぶところには自ずと限界があることも、みな知ってます。 浜岡原発が今、存在していて稼動していることについて、中部電力にはもちろん一切の瑕疵はありません。当時、想定した地震災害を考慮した設計を行い、国の保安基準をクリアし、建設許可が下りて建造され、運転されているわけです。(想定が甘いとか保安基準審査がどうのとかいう点は、とりあえず置いておきます。) しかし今、福島第一原発の事故を踏まえ、当初の想定が全然甘かったということが判明し、浜岡原発についても、来るべき東海地震の自然災害についての対策が不十分であろうということが判明した結果、停止要請が出されたわけです。(どんな対策も自然災害には無力であるという点は、とりあえず置いておきます。) 中部電力としては、東海地震が当初の想定以上の震災規模になる可能性が非常に高いことが判明した時点で、それに対応できていない浜岡原発の全炉停止判断をすることは、別に面子が立たなくなるわけでもなんでもなく、ごく普通の常識的なことだと思うのです。 電力の安定供給がどうのこうのとか言ってますが、それは 『安全が担保された上』 での話です。しかも、火力水力の稼働率を上げれば、余裕で電力は供給できるのです。国家や国民の命、財産、未来を犠牲にしてまでもやらねばならないことなぞ、この世には存在しません。 ましてや、いち民間企業の業績、利益のためだけに、国家や国民の命、財産、未来を危険に曝してよいはずがありません。 しかし、その判断が当該企業の経営陣内で行うことが出来ない。 そう考えると原発というとんでもないものを、民間企業が利益を追求する(電力会社はみな株式会社ですからね)という目的のために保有運用しているという構造はどう考えても再考しなければなりますまい。 これは中部電力だけの問題ではありません。原子力という技術を商用レベルで扱うには、日本という国はまだまだいろんな面で未熟すぎるんだと思います。 もっと読みたい奇特なかたは、↓の読みたい月をクリックしてね。 |
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受け入れないみたいですよ
そうみたいですね。<br>昨夜の各社報道並びに今日の朝刊では、「受け入れる見込み」って伝えられてましたから、まぁ当然だろうな〜 と受け取っていたのですが、さすがにそんなにスムーズには行かないようで・・・<br><br>でもこれ、悪い意味であまりにも日本人的な思考ですよね。<br><br>結論は見えているのに、その結論を言い出すのが怖くて誰も言えないみたいな。<br><br>こんなときに、『どんな理由を付けたって、止める以外に選択肢は無いっ!』とか言い放てるトップが中電に居ればよいのですが。<br><br>というわけで、酔っ払いながらも少し追記しました。