2011-04-24 実にのどかな春日和。_ 朝日新聞しれっと訂正?! 100mSv被曝時の発がんリスクについて。4月5日の朝日新聞朝刊に紹介されていた、ICRPの発がんリスク試算値に対して間違いを指摘したのですが、それが今朝の朝刊で、さりげなく正しい数値が紹介されておりました。 これに伴い4月5日のかにの泡ぶくを更新しましたので、ぜひご覧ください。 _ 防災ラジオ。電気が当たり前に使えて普通にテレビやインターネットが使える環境に長らく居ると(って、それが普通なのですが)いざというとき、本当に困ります。 私は外出時にはほとんどの場合(ジョギングの時などは除く)、中波放送が受信できるアナログラジオ(AMラジオ)を携帯しています(他にもマグライトとかナイフとかタバコ吸わないけどライターとか・・・)。その理由は、いつ来てもおかしくない状況である東海大地震や南海大地震を出先で食らった際の情報収集手段としてです。 甚大な災害時の情報収集手段として中波ラジオは非常に強力です。例えば、首都圏を襲う大地震が起きたとします。こんな風になる可能性があります。
携帯電話のワンセグは条件がよければ受信可能かもしれませんが、都内にある送信設備も被災で停波しているかもしれず、また、携帯電話の電池は将来の回線復旧時に備えてなるべく温存しておきたいです。そうなると、電池で作動するAMラジオは非常に強力な、場合によっては唯一の情報収集手段となります。 超短波帯を使うFM放送(80.0MHzのTOKYO-FMや、84.7MHzのFM横浜等、所謂普通のFM放送です)は、電波の性質上、届く範囲に制限があることから送信所が首都圏近郊にあるという事情もあってやはり被災で停波の可能性があり、また、送信されていたとしても、中波放送に比べて受信する側の状況によって受信状態が大きく影響を受けます。使っている周波数から来る電波の性質や、送信所の条件、電波の到達範囲から考えても、なんだかんだ言って中波放送はつぶしの効く非常に強力な情報伝達手段と言えます。 そんなわけでみなさんもぜひ、有事に備えて電池で動くAMラジオを手元にご用意されてください。 私が考える、有事に備えるラジオを選ぶポイントは:
アナログラジオであるという点を重視するのは、PLL方式だとそれだけで結構な電力を食うので稼働時間が不利になるのと、使ってないときでも結構な待機電力を使うので、「いざ」という時のために用意しておいても、「いざ」という時に電池が消耗していた・・・あるいは、「げげっ液漏れかよ」みたいなことにならないように・・・からです。 まぁ、日頃からよく使っているラジオがあるよ・・・というときはそのラジオをそのまま使えばいいのですが、そうではなく、有事に備えて置いておくという場合には、電源スイッチが「カチッ」というタイプの、電源オフで完全に電源ラインが切断されるアナログラジオのほうがいいと思います。安いですしね。もちろん、PLLタイプは絶対駄目かというとそんなことは全く無く、待機電力問題については電池を抜いて置いておけば解決する話ですから、手持ちのものがすでにあればそれで全然OKです。 というわけなのですが、そういえばウチにはアナログの携帯ラジオが一つしかなく、私がそのアナログ携帯ラジオを持ち出してしまうと自宅には使うのが小難しい中華ラジオしかなく、ちょっとウチの家内や娘が使うには厳しそう。私が外出中に有事が発生したら、家に居る家族は情報入手手段を全喪失してしまうことになり、これはまずい・・・ということで、中華アナログラジオを買ってみたのです。
この写真、白っぽいのがソニーのICR-S10というポータブルAMラジオ。単三電池二本で動くのですが、感度良し(昼間で関東圏外のAM局多数入感。地下街でも受信可能)、音質良し(非常にふくよかな優しい音)、電池の持ち良し(毎日2時間程度聴いていても数ヶ月持つ)で非常にたいそうめちゃくちゃ気に入っているのですが、なんで私がこれを所有しているのか記憶にないという謎ラジオです。自分で買った覚えは無いので、きっと、親父が会社の記念品等で貰ってきたものなのでしょう。私が大学生だったころにはすでに手元にありましたから、少なくとも1984年には所有していたことになります。昔の日本の製品は、妥協したところが感じられず素晴らしいものが多かったなぁ・・・(遠くを見る目)
この青いのは、先日買ったR-911という中華アナログラジオ。TECSUNという中国では非常にメジャーなメーカーのラジオです。中波に加えてFM放送(国際バンド仕様)、さらには短波9バンドの合計11バンドラジオという実に豪華なスペックです。こんなすごいラジオの購入価格はなんと \2,580-。駆動は単三電池二本でICR-S10と同じ。中華ラジオの通例に違わず感度は滅茶苦茶高いのですがそのせいかノイズが多い感じ。短波とFMは混変調が激しくて使えないことは無いけどなんだかな?って感じ。音質は、小型ラジオによくあるタイプの実に乾いたキンキンした感じの音で、これ単体で見れば悪くは無いのですがICR-S10と比べるとお話にならないなぁ(比べる相手が間違っているのですが)・・・ ってところで、これ読んだだけでは、良い印象まるで無さそうですが中波AM放送を受信するだけに限って言えば、全く問題ありません。 電池の持ちは、買ったばかりなので実戦では未評価ですが、消費電流実測ではICR-S10の1.3倍ぐらい。よって、ICR-S10より早めに電池は無くなりそうですがしかしさすがはアナログラジオ、省エネです。この程度の消費であれば全く問題ありません。中華ラジオ頑張ってるじゃん! と言ってあげてよいでしょう。 短波も、JORF強電界下の混変調にまみれながらも、ロッドアンテナだけで朝鮮半島や中国大陸、遠くはヨーロッパからの放送を感度良く受信してくれます。いや?、こういうアナログラジオで散歩する短波帯は面白いですね。微妙なチューニングに苦労しながら『バックラッシュが酷すぎるんだよ』とマジ顔で文句言っている自分に苦笑いしたり。 いや実に面白いです。これが \2,580- なら全く文句ありません(いままで散々言ってますが ^^))。 というわけで、愛しのICR-S10に自宅待機を命じ、私は中華ラジオを携帯するようにしたのですが・・・したのですが・・・こう、仕事で外回るときなどに荷物が多いときってあるじゃないですか。私はいつも、ノートPC持つときにACアダプタは持ち歩かないのですが(VAIO type-Gは連続5時間ぐらいは余裕で動くので)、外でコンパイルする用事があるときなどはやはり心配なのでACアダプタを持ち歩きます。それにデジカメに、携帯HDDに・・・なんてなってくると、ラジオがもっと小さいと幸せかなぁ・・・なんて思ってですね、せっかくだから自分で作ってみた(超)小型ラジオが、最後に紹介するあの黒い一口羊羹みたいなラジオです。 ラジオって、自分で作ろうと思うと既存の汎用部品を使うしかなく、どうしても部品のバリエーションに限度というか、制限のあるバリコンと同調コイルのサイズがラジオ全体のサイズを決定する主要因になってしまいます。
LMF501Tと2SC1815の間にある10Kの(半固定)VRは、とっぱらってしまって2.2uのコンデンサ1個で結合のほうが、よりシンプルになってよいかと思います。
そんなわけで、入手可能なバリコンと小型バーアンテナのサイズから、実装可能な最小体積回路を検討してみた結果、ミツミのLMF501Tという、外見まるでトランジスタと同じなワンチップAMラジオ専用ICを使った、ストレートラジオを作ってみることにしました。後段に2SC1815で構成した簡単な低周波アンプを加え、セラミックイヤホンを鳴らします。そうそう、イヤホン専用です。 少し専門的な話になりますが、今、世の中にあるラジオはほぼ全部、スーパーヘテロダイン方式という受信方式を取っており、ストレートラジオに比べると周波数安定度、感度、選択度どれをとっても非常に優秀なのですが、部品点数が多くなるという問題があります。それでも今は専用ICがあったりで簡単に作れるのですが、しかしそれでもLMF501Tを使ったストレートラジオに比べれば部品点数の少なさでは到底勝ち目はありません。
LMF501TというICは、すでに廃品種となっているSANYOのLA1050というラジオ専用ICとほぼ(全く?)同じものなのですが、これらIC、私はよい思い出がありません。過去に何度か使ってみたことあるのですが、間違いなく100%、10回作って10回とも発振するのです。Googleで「LA1050 ラジオ」等で検索すると製作記事が沢山ヒットします。多くの皆さんが作られているにも関わらず私が作ると間違いなくピギャーと発振。『俺の実装方法がよっぽどヘボなんだな』なんて凹んでいた過去を自分で葬り去っていたのですが、仕方ありません。覚悟を決めてまた製作です。 結果、やはり同じように発振しました。あははは・・・810KHzのFENあたりまではよく入るのですが、それより高い周波数になると「しゃーぴゅーぎゃーーーーーぷつっ」ってなってしまってなにも受信できません。 写真のごとく回路周辺をシールドしても効果無し。 今回は非常に不本意ながら、同調回路を2Mオームの抵抗でダンプすることで、発振を停止させました。LMF501Tは入力回路のインピーダンスが4Mオームと非常に高いのが特徴なのですが、まぁ、2Mをパラって1.3Mオームなら、Qの低下も許容範囲だろうということで、激しく悔しいのですが妥協しました。でも、2Mダンプで発振はぴたっと止まって実に豊かな音質で、ラジオ放送を受信してくれるようになりました。
自作で小型化しようと思うと、このへんが限度かなぁ??? 電池はLR1130という1.5Vボタン電池1ヶ。消費電流は、ラジオ受信時で0.6mAぐらいですから、連続稼動時間は60時間ぐらいかな?。まぁ充分ですね。ほんとはLR44で100時間オーバーの稼働時間を実現するつもりだったのですが、そのつもりで買った電池BOXがLR1130用だったというドへまをやらかしてしまったことは内緒にしておきたかった事実です ^^) 感度はストレートラジオとは思えないほど高く、中華ラジオR-911に匹敵するか、それ以上かもしれません。選択度はさすがにスーパーヘテロダインには勝てませんが、それでも首都圏近郊7局(FEN含む)は全て分離できますから実用充分です。 重量はイヤホン電池込みで45g。中華ラジオが電池込みで212gですから、随分軽く、小さくなりました。
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最新ツッコミ |
(電池駆動の)ラジオですが、昨今は持っている人はそう多くないのかもしれません。<br>と言うのは、3月11日の地震当日、大きな揺れの後に拙宅(集合住宅です)近くの広場に近隣住民が集まってきたのですが、ラジオを持っていたのは何とウチのヨメ一人だけだったんです。<br>ウチのヨメはそのラジオを鳴らしながらうろうろしていたので、僕が自宅からもう一台ラジオを持ち出してきて件の広場のベンチに置いて、不安がって広場にい続ける人達のためにしばらくの間流しっぱなしにしていました。<br>中には実家が釜石だ、なんて人もいて、熱心にラジオに耳を傾けていましたよ。<br>翌日未明には電気が復旧したので、モノラルラジカセをACに接続して、地元AM局を延々流しっぱなしにしていました。あの情報にどれだけ助けられたか分かりません。
なるほど。<br>確かにいまどきの時代、ラジオって持っている人少ないかもしれませんね。<br>でも、まさにyimamura さんが経験されたような状況だと、ラジオがほぼ唯一の情報収集手段になってしまう可能性が高く、やはりここはひとつ手元に用意しておきたいアイテムですよね。
一時期は単三2本で聴くポケットラジオは無数に販売されてましたよねー。中学校でも作りました。自作ラジオ、抵抗を立てると発振しやすいようです。横にするかリードが長くなるほうをGND側にすると良いと古いトラ技に書いてありましたよ。
いつもは寝かすのですが、今回は場所がね〜。しかし、以前は寝かして実装しても、やっぱ発振しました。そもそもLMF501T(LA1050)って、ゲインが70dBもあるので発振しないほうがおかしいよなぁ・・・なんて、自分の実装下手を言い訳してます ^^)
私も作ってみます。実は高周波は苦手なんですが。
ご参考までに、今日中に回路図掲載しますね。
回路図本文中に掲載しました。
ごめんなさいコンデンサ一個抜けてました。<br>回路図修正しました。<br>低周波段をFETで作れれば、コンデンサと抵抗一個ずつさらに減らせそうなんですが・・・
回路図ありがとうございます。6石ラジオキットはまだ買えるようですが高っいですね。中華BCLラジオの倍位。
いえいえ。<br>LMF501Tと2SC1815の間にある(半固定)VRは、とっぱらってしまってコンデンサ1個で結合のほうが、よりシンプルになってよいかと思います。<br>なんとなく念のために入れたVRなのですが、実際常時フルパワー状態で使っております。<br>音量調整は、ラジオの向きを変えることで可能ですから、あれは要らないですね〜。