2011-04-15 数値評価は客観的なものであるハズ。_ レベル7を巡る攻防。福島第一原発放射能汚染事故に対する国際原子力事象評価尺度(INES)を最悪のレベル7に引き上げたと日本政府が発表したのが4月12日。これを巡って、各方面で「過大評価だ」「いいや適切だ」「もっと前からレベル7だったろ」みたいな激しい攻防が起きています。 見ていて面白いですね(あ、不謹慎な面白さを感じているわけではありません)。 INESの基準を見てみます(リンク先はWikipedia)と、レベル7は以下のように定義されています。
国際原子力事象評価尺度によるレベル7「深刻な事故」の基準: 今まで発表されている内容から判断すれば、『大気中に拡散放出された放射性物質の量のみ』(←ここ重要!)で、原子力保安院の試算が37万テラベクレル、原子力安全委員会の試算では63万テラベクレルと、どちらも基準1を余裕でクリア。そして、水素爆発による建屋破壊、格納容器損傷、圧力容器もきっとすでに底に穴開き水じゃじゃ漏れ。再建なにそれ・・・みたいな状況を見れば、基準2も余裕でクリアです。 どこからどう見てもレベル7の最悪レベル決定ですこれは。 それを、この場に及んで『チェルノブイリと比較して事情は全然違うから、過大評価だ!』と言って、少しでも事態を過小評価したがる人たちは、もれなく全員原子力発電推進派だってのが、構図としてはっきりしすぎていて滑稽です。 レベル7とチェルノブイリの災害規模は独立しているものであり、比較できるものではありません。当たり前ですがチェルノブイリの災害規模を元にレベル7が策定されたわけではありません。レベル7は明確な基準あってのレベル7であり、チェルノブイリの災害規模はレベル7ですがそれがあまりにも超越しているということなのです。レベル7以上のレベルが無いので、これは仕方ないのです。 彼らの論理で行けば、時速100Km制限の高速道路を、インタークーラーターボ付きの軽自動車で時速150Kmで走行中スピード違反で警察に捕まったとします。『軽自動車で頑張ってここまで加速したのだからスピード違反では無い! ランボルギーニで300Km出したのに比べればあまりに軽微だ! スピード違反は過大評価だ!』と言っているのと同じです。 これを一般的には、逆ギレ、あるいは、頭がおかしくなった人 と言います。 スピード違反はスピード違反です。違反の程度は違うとしても、そこに確固たる基準があって、それを超えたものはスピード違反になるなんてことは、私が幼稚園児のころでも分かることです。 各国政府、高官、大学教授、専門家ら、本来は世の中を率いていかねばならない立場の層であっても原子力という利権の前には、ここまでおかしなことを平気で言い始めるんだなってことに、今更ながら驚きます。 あ、昔からそうでしたかね・・・? 失礼しました。 _ チェルノブイリ超えは確実か?!4月12日の東京電力の記者会見を見ていて『おやっ?』と思ったことがありました。それは、いつもなにかと情報公開先延ばし隠蔽工作重要なことはその日の朝刊に間に合わないように朝4時以降に発表しているように思えるのは気のせいかな? の東京電力が、4月12日早々に『福島第1原発は放射性物質の放出を止め切れておらず、(放出量は)チェルノブイリ原発事故に匹敵、または超える懸念がある』(東京電力松本本部長代理)と言ったことです。 今回レベル7に認定された放射性物質の飛散試算は、あくまでも『大気中に拡散放出されたもののみ』なんです。海洋に漏れ出たもの、自分達で海に放出しちゃったもの(海に、世界に早く謝れ!)は含まれていないんですね。 おそらく、これらを合算すれば今の時点ですでにチェルノブイリの放出量を超えていると思われます。それを見越しての発言でしょう。実は2号機取水口近くから放射能汚染水が海に流れ出ているという報道があった際に、それがトレンチに溜まっている1200万ベクレル/mlの放射能汚染水と同じものだとして、どのぐらい放射性物質が流れ出ているのか試算したのですが、とんでもない数値になりました。あまりにも適当な予測に基づく試算なので具体的数値の公開は控えますが、ここ以外にも、建屋のヒビ等で地中に放出された分などもあるわけで、もうとっくにチェルノブイリどころの量ではなくなっている可能性が非常に高いです。 もっと読みたい奇特なかたは、↓の読みたい月をクリックしてね。 |
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