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かにの泡ぶく


2009-06-30 シグマDP2のISO特性や露光特性などなど。

_ アカデミックな話題続きで・・・

この頃 かにの泡ぶく にしては珍しく、アカデミックな話題が続いてしまったがためにどうでもよい話を書きにくくなってしまった今日この頃、みなさま如何お過ごしでしょうか・・・

自分のブログに書くのに気を遣うってのもアホな話なのですが、まぁたまにはそんな緊張感があってもいいか・・・と、思っていたらあっという間に一週間以上更新期間が開いてしまいました。

さてと、それでは勇気を持って ^^)、久しぶりに更新してみましょうか。

_ シグマDP2のISO50の謎解明(あまり嬉しくない)。

シグマDP2は、ISO AUTOの設定で撮影していると、ISO100と200(フラッシュ撮影時はISO100,200,400)で感度が自動的に切り替わります。なお、メニューで手動設定可能なISOモードは以下の通りです。

■SIGMA DP2の設定可能ISOモード

------------------------------- ・ISO AUTO(購入時初期設定モード) ------------------------------- ・ISO50 ・ISO100 ・ISO200 ・ISO400 ・ISO800 ・ISO1600(RAW撮影のみ) ・ISO3200(RAW撮影のみ) -------------------------------

ISO1600と3200についてはRaw撮影時のみ設定可能です。これは、カメラ内での画像処理では荷が重過ぎるので、PC上で現像ソフトで高度なノイズリダクションをかけさせてねってことでしょう。ま、その事情はよくわかります。OK了解です。

しかしISO AUTO時にはどんなに明るいところに持っていってもISO50になりません。露光オーバー警告を出したままガンとしてISO100で踏ん張ったままなんです。それが仕様なので別に異常では無いのですが、ISO50があるのに『なんでISO AUTOでISO50にならないんだろうか』という購入時からの謎、今回その謎が解けました。

昨日の午前中、梅雨の合間で日も差していたので主に高感度側の実用ISO感度域を調査する目的で近所でお花とマクベスを撮ってきました。まずはその結果からご覧ください。

■撮影データ

  撮影日時 :2009年6月29日午前中(Exifタグ残してあります)。   シグマDP2 :プログラムAEでISO固定モードでRaw撮影。         Sigma Photo Pro 3.5.1 で全ての補正ゼロで現像。
  注意!  :少し思うところあり、Exifタグのシリアル番号は、         意味の無い文字に置き換えてあります。

_ SIGMA DP2の屋外ISO別サンプル画像(花壇)。

ISO50からISO3200まで順番に並んでます。ISO1600以上はND8で減光してます。

ISO50とISO100の画像を見比べていて 『!』 となりました。みなさんもぜひリンク先のオリジナルをローカルに保存して、画像表示可能なソフトで比較してみてください。

なんとISO50では、黄色が飽和してある日突然真っ白になっています。黄色は本来、青成分が少なく、赤と緑で構成されるべき色ですがISO50では、高輝度域にある黄色は青が突然レベルアップしてしまい、結果、白くなってしまってます。

マクベスの黄色の彩度と、マクベスの上にある黄色いお花の花びらを見てみてください。『なんじゃこりゃぁ・・・』 って、感じです。はじめは現像ソフトの設定を疑ったのですが設定は問題無し。カメラ内で画像生成されているRaw画像ファイル埋め込みのJPEGサムネイルでも同じ現象が確認できますので、これはどうやらフォビオンセンサーの特性のようです。

ISO50の画像、マクベスの黄色を見れば色のノリが異様に薄いので異常に気が付きますが、もしこれ、マクベスが無くて、しかも比較画像無しでISO50でしか撮ってなかったら、黄色いお花の色抜けも、太陽光の反射かなにかのように見えてしまいさりげなく気が付かなかったかもしれません。危なすぎるぞこのトラップ。

屋外で絞り開けて撮ろうと思ったときに晴天だったりするとついついISO50にしようかな・・・なんて思うこともあったのですが、ISO AUTOでISO50になぜ下がらないのか謎であり、下がらないからにはなにかわけがあるのだろうと思って今まで使うことの無かったISO50モード。ISO AUTOでISO50に下がらない理由は、『使ってはいけないISOだから』 『使うと色再現がおかしくなるISOだから』ということのようです。


    2009年7月1日 10:30追記:
    当初ISO50については、黄色がヘンになることから「使ってはいけない」と表現していましたが、色再現がヘンになるにしても使うことによってカメラが壊れたり撮影者が危険にさらされたりするわけでもなく、それよりなにより製品に設定可能なISOモードとして用意されているモードですので、「使ってはいけない」という表現は改めさせていただきました(当たり前ですが取説にも「使ってはいけない」なんてどこにも書いてませんし)。

    なお、「■まとめ:SIGMA DP2の実用感度域についての私の判断」の欄については、これはあくまで私の判断としてですので、当初の表現のまま記しておきます。

そんなのありでいいのでしょうか? まぁでも事実あるので仕方ありません。ではなぜ、使ってはいけない 使うと色再現がおかしくなるISO50が用意されているのか・・・新たな謎です。

『黄色がヘンになっても絞りを開けたい』というときのための緊急回避的モードなんでしょうか・・・私だったら、黄色がヘンになるぐらいなら絞り開けられなくてもISO50なんか使わないし、NDフィルタ持って歩くようにします。

感度上げればノイズが増えるのは、この手のカメラを使う人間は常識として知っているでしょうからISO400以上でノイジーになることについていちいち説明が無くてもまぁいいでしょう。しかし、ISOを下げたら色が抜けるなんて、なかなか思いつかないブービートラップです。せめて取説に一言、『ISO50は緊急回避的低感度モードです。特定の色域の再現(主に黄色)に問題を生じる可能性があります』とかなんとか書いておいてくれればいいのに。

はじめは当然、私の個体に限った初期不良かと思ってすぐさま検索エンジンで "DP2 ISO50 黄色" と検索してみたのですが・・・どうやら初期不良ではなさそうです。

いずれにしても謎が解明してよかったです。が、いくらなんでもあれですので、本件はシグマに問い合わせてみることとしましょう。

フォビオンセンサー上で青は一番面積が小さく赤が一番大きいのですが、感度下げすぎる(=単位面積当たり受けるフォトン数が多くなる)と、赤とか緑で受けた電荷が青に流出して青のレベルが上がってきちゃうんですかね。

_ SIGMA DP2の屋内ISO別サンプル画像(適当チャート)。

ISO50からISO3200まで順番に並んでます。ISO15739のノイズチャートを撮影してますので、ある程度の定量評価が可能です。興味あるかたはされてみてください。フォトショップ等であれば、各色チャンネルで同じ輝度のパッチを範囲選択してヒストグラムを観察し、標準偏差が小さいほうがノイズが少ないということになります。

屋内では屋外で確認されたISO50での顕著な黄色抜けも確認できません。高輝度域に黄色が無いシーンではISO50問題は表出してこないってことです。

一般的にデジカメの撮影感度は、低ければ低いほどノイズ的には有利になります。ISO50とISO100でノイズ量を比べてみますと、頭ひとつ分、ISO50のほうがS/Nがいいですねやはり。しかしまぁ、ISO100でも充分ノイズが少ないので、まぁISO50使えなくてもそれほど困らないな・・・黄色がおかしくなるリスクを考えたら、DP2はISO100〜 で使うべきだと、私は判断します。

_ そしてシグマDP2の実用感度域は・・・

屋外ISOテスト撮影で思わぬ予期せぬ問題に遭遇してしまいましたので、(ISO AUTOで下がらないのでなにかあるとは薄々思ってはいたものの・・・)まさかISO50が除外されることになるとは思ってもみなかったのですが、ではさて、本来の(?)主旨である高感度側の実用限界はどの程度まででしょうか?

これは、各人の趣向が大いに反映されるところですのでなんとも難しい問題です。屋外、屋内のサンプルをよ〜〜〜く見てみますと、以下のことがわかります。

・ISO50は色(特に黄色)が危険なので使わないほうが吉。
・ISO100, 200は、全くなんら問題なく常用可能。
・ISO400は、ISO100, 200の延長線上の画像となっている。
  →ノイズ感の増大はあるものの、画像の性質上大きな変化は無い。

・ISO800になると、なにか別のスイッチが入る。   →ゲインアップによるノイズ増大に対応するため、ノイズリダクションが明らかに    高感度モードに切り替わっている。   →彩度もガクっと、落ちはじめる。
・ISO1600, 3200はノイズ共存の世界となっている。   →あくまでもディテールを残さんがために、過度にノイズリダクションをかけるこ    となく銀塩フィルムの増感現像チックな状態を許容している(素晴らしい!)。

色再現は屋外のお花の画像で。ノイズや細部描写は屋内のノイズチャート、マクベス、CZPや画面右上のほうにあるマクベスの箱に印刷されている文字などを観察することで判断できます。

まぁあれだ、ISO400まではまるで問題なく常用可能だと思います。ノイズがよっぽど気になる人でも、まぁ許容できるレベルではないでしょうか。しかしながらISO400になると中間調のグラデーションが汚くなってくるのが明確にわかるので、ポートレートとか、艶めかしいモノを撮影するときにはISO200まで、できればISO100で撮るようにすべきでしょう。

そう考えるとISO AUTO時にISO400まで行かないで、100と200で行ったり来たり・・・というのは、実に無難かつ安全な設定と言えます。

問題は、ISO800からです。

大昔、ネオパンSSS(ASA200)をパンドールでASA1600ぐらいまで増感現像していた私から見れば場合によってはISO3200の画像でさえもOKと思えちゃいますが、う〜〜〜〜ん、ISO800以上は本当に緊急回避的に使うか、あるいは、粗粒子的表現手法で使うかってところですかね〜〜・・・ そしてなんかこう、ISO800の画像はいまいち踏ん切りがついていない感じがします。むしろISO1600の画像のほうが、痛快感があります。

DP2の画像を見ていると、ISO400とISO800の変貌の仕方があまりにも急激に感じるのです。ISO800を使うのであれば、2段ぐらいアンダーになってでもISO400でRaw撮影して、現像時に補正してあげたほうがよさそうな感じもします。

■まとめ:SIGMA DP2の実用感度域についての私の判断

・ISO100, 200 での使用を強く推奨(ISO AUTOで撮れ)。
・ISO50は色がヘンになって写真が危険なので使ってはイケナイ。
・ISO400は普通のスナップであれば特に問題なく使用可能。 ・ISO800にするぐらいなら、多少アンダーでもISO400/Raw撮りで頑張る。 ・ISO400/Raw撮りでもダメそうな低照度下では、ISO800飛ばして1600で撮る。

露光オーバー/アンダー耐性のデータも採取したのですが、まだまとめてませんのでまた後日、ご紹介したいと思います。

しかしさすがDP2というかフォビオンセンサー機。ISO3200でも細部ディテール喪失が最小限度なのは見ていてとっても気持ちいいです。ISO3200でもマクベスの箱の文字がしっかり残ってますもの。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
_ 通りすがり (2009-07-01 21:53)

難しいことはよくわかりませんが、黄色がちゃんと写らないモードなんて、「使ってはいけない」って断じてしまっていいんじゃないですか?<br><br>だって、カラーで写せるデジカメなんでしょ。

_ 青木@管理人 (2009-07-02 00:13)

いや〜、まぁそうなんですが、でも、中には黄色がおかしくなってもいいって思う人も居ないとも限らないかなぁ・・・と。<br><br>私はカラーで写したいから、ISO50は使ってはイケナイって、判断しますが。<br><br>ありがとうございます。


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