電圧設計のシビアさが試聴結果にも現れているかもしれない気がしておりましたシリコンTr版ヘッドフォンアンプ。K501のエイジングの件もあって当面回路定数はいじらないと言いましたがやはりどうしてもこの微妙ないやいや要素が気になってしまい、どうしても試聴に気合いが入りません。というわけで居てもたってもいられなくなり、回路定数変更です。 とは言っても今回は電圧設計段階で厳しいなぁと感じていましたので、回路定数変えるにしてもこれ以上どうやって変えるのか? っていう問題があります。 方針として考えられることをざっとあげてみますと・・・
1. は今回のアンプが電池駆動であることを考えますと取りたくない方策です。 2. は、せっかくの低出力ヘッドフォンアンプなんですから、できれば音質重視でAB級ドライブ強く希望ということで却下したい方策です。 3. は、回路が複雑になってしまい今回のシンプルisベストの主旨に反するので、できれば避けたい項目です。現状バイアス電圧は1.5V程度ですから、ここで稼げる電圧って仮に1.3Vに落としても0.2Vなんですよね。確かに貴重な0.2Vですが、0.2Vを得るためにせねばならない行為の性質から考えますと、バイアス関係はLED一発ってのがシンプルでいい感じです。ただ、バイアス電圧生成用の定電圧回路を組んだ場合、バイアス電圧設定がいきなり自由になりますからSEPP段に入っているエミッタ抵抗を小さくできて、出力インピーダンスが下げられるという大きなメリットが生じます。ですので、この定電圧回路組む案は、完全却下するにはちょっともったいないので、できれば避けたい案としておきます。 そして、4。これがやはり本命でしょう。今の回路定数は、例えば2SK30ATMのIdssが少しぐらい異なっても大丈夫なように考えているのですが、ここをどこまで追い込めるか。またさらに、ある回路定数のときの2SK30ATMの動作を実験で調べて、少しでも電圧利用率を高めるような定数を見いだす作業を行うのです。現状の回路ポリシーには一切影響を与えず、現状での効率アップを追求するというのは正攻法でしょう。 ということで、またまたいつもの2SK30ATM(GR)の特性測定実験です。 2SK30ATMってドレイン電流あまり流せないのでそもそも無理があるんだよなぁ・・・などと頭の中でつぶやきながらあーだこーだ。結局ですね、2SK30ATMのドレイン電流は 2mA とし、ソース抵抗を今まで 150オーム だったのを 510オーム に増量、かつ、負荷抵抗を 1.5Kオーム に変更しました。変更前は Id : 3mA でしたから、電流ドライブ能力は 2/3 に減少です。しかし電圧スイングは変更前より 1 Vp-p 程度多く取れるようになりました。今回使っている終段の石は比較的現代のシリコンTrですから、電流ドライブは彼らに頑張ってもらいましょう。 さくっと部品換装して、早速試聴です。 ・・・・・・ 変更前の状態とすでに聴き比べられないのであてにならない印象ですが、確実に音ののびやかさが向上してます。パーカッションの音も濁りがなくなって大変高速に「ずばっ」と決まります。いい感じです。ゲルマTrに対等できそうな勢いがあります。生き生きしてますね、音が。 これでしばらく試聴に専念できそうな状態になりました。 やっぱ気になっている点はどんどん改善していかないとだめですね。気になっている点があるってことに気がついているのに放置状態ってのも、気持ち悪いですしね。