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かにの泡ぶく


2006-09-12 シンプルなものは奥が深い。

_ ラジオ回路備忘録。

今日はいくつかの検波回路の実験をした。というわけで備忘録的にログ残す。

同調コイルは全て並四コイル相当のもの(実際には中波と短波で評価しており、中波は並四コイル、短波はトロイダルコアに巻いた怪しいコイル)。VC1は同調用の260PFぐらいのポリバリコン。VC2はそのへんにあったポリバリコン。たぶんスーパー用親子ポリバリ。

_ 3A5(電池で動く三極管)グリッド検波。


手元に3A5という、電池で動く真空管(双三極管)があったので、三極管の片方だけ使って再生検波の実験。結果よさそうであれば、もう片方で低周波増幅して一台あつらえようという野望。3A5を使うのは今回がはじめて。これってリモートカットオフなのかな? まぁいいや。
結果は、あんまし芳しくない。再生のかかり方が突然すぎで、音もやけに歪んでいる。そんなわけで27VのB+ラインにVR入れてみたりしてプレート電圧を調整してみる。プレート電圧20V〜22Vぐらいの間が中波放送の検波音も感度も良い感じだけど、それでもどうもしっくりしないし、短波放送は全く入感無し。
どうもいまいちな感じだ。もっとちゃんと係数を調整すれば性能でそうな感じもするのだけど、なんとなく出鼻をくじかれた感じがしてあっさり今日はお仕舞い。後日追試とする。

_ 2SK241-GRで再生検波。


FETは電圧制御素子で真空管に大変よく似ている。つうことで、2SK241-GRで再生検波を実験。実際、3A5の回路図と比べて、ほとんど一緒である。
実はこの回路、先月一旦組み上げてちょろっといじったことあるもの。そのときに各所の電圧電流測定と簡単な視聴のみ行ったが、真空管との比較ということで本日再稼動。
3A5に比べると随分いい感じで鳴る。短波も聴けることは聴けるが、かなりクリティカルだ。ボディーエフェクトも激しく、再生調整で深追いすると、VRから手を離したとたんに調整点がずれてまともに受信できない。
さらに、JORFは過入力のためか同調をドンピシャにあわせると全く受信できない。飽和しちゃっているみたい。
入力にアッテネータ入れないとだめだな。

しかしFETやTrでの再生検波っていまいちよくわからないのは、あれは検波までするのか? それとも、あくまでも正帰還回路を持った高周波増幅回路なのか? このへんは動作点の設定で異なるのか? 巷に発表されているFETを使った再生検波受信機の回路をいくつか見てみても、検波用のダイオードを備えたものと、備えていないものと、いろいろだ。一方、真空管の再生検波で検波用の回路を別途備えるものって見たこと無い(Qマルチ除く)。真空管の場合は、基本はグリッド(プレート)検波であり、これの出力側漏れ高周波を入力に正帰還かけるという考え方。だから検波は行われるっぽいってことはなんとなく身体でわかることができるが、ってことはレフレックスなのか? いや違うだろう。レフレックスはあくまでも 高周波増幅->検波->低周波増幅 という流れで、高周波と低周波の増幅を一つの石なり管なりにやらせる方式のことで、再生増幅とは別モノだ。このへんの理論は正直わけがわからん。もっと勉強しなくては。
しかし実際問題、FETでの再生検波回路であっても、今回の回路のように検波用ダイオード無しでもちゃんと低周波出力を取り出せる。
ためしに上記回路の2点にゲルマダイオードを入れてクリスタルイヤホンで聴いてみても、AF OUTで聴くのと同様にちゃんと聴くことができる。

どう解釈すべきなのかなぁ。いずれにしても後日もうちょっと定量的に追試しよう。

_ 2SK192A-Yで再生増幅、検波。


2SK241はGRだった関係で部品点数が多くなってしまった(ソースに入っているバイアス抵抗)ので、2SK192A-Yでゼロバイアスでチャレンジ。
今回は、再生無しのストレートラジオとしても使えるように、意識的に検波回路を入れることにした。すなわち、2SK192Aは高周波増幅を受け持つのである。
こう改めて書くと、やはり再生増幅は増幅回路なのか検波回路なのか?  という点をはっきりさせたくなってくるが、今日のところは取りあえずそのへんは触れずに、現象を確認して今後の追試のための予備実験とすることにした。

2SK192A-Yの回路の OUT というところには増幅された高周波成分が出てきているつもりである。これを、『その1:単純ゲルマダイオード検波回路』『その2:2SC1815トランジスタ検波回路』それぞれで検波してみて様子を確認する。

『その1:単純ゲルマダイオード検波回路』は、よく鳴る。中波も短波もよくなるが、再生をかけない場合(VC2最小容量)は、混信が激しい。中波はVC1どこ回してもJORF聴こえる状態。短波は、例えば12MHzぐらいを受信していれば、11.5〜12.0MHzぐらいが全部いっぺんに聴こえるような感じ(これはこれで楽しい)。
再生をかけると分離もよくなるが、再生度を調整するのが難しい。深追いするとやはりボディーエフェクトが強烈になるので、軽めにかけるぐらいがいい感じ。
JORFドンピシャで飽和現象はやはり同じ。こればっかりはどうしようもないな。AGCが無い以上、アッテネータしかない。

『その2:2SC1815トランジスタ検波回路』も、当たり前だがよく鳴る。イメージとしてはおおよそ『その1』と同じような感じだが、音量が断然大きいって感じだ。JORF飽和で無音になるのも同じ。

しかしこれまた謎なのは、これは検波回路なのか? 増幅回路なのか? という点だ。

実はそれを検証するためにコレクタ負荷をVRで可変できるようにしてみた。実際に放送を受信している状態でVRを回してみると、コレクタ電圧2.1Vのときに検波出力が最大になった。1.0V切ると音が割れて大変に不快なよくない状態になる。
なんだか増幅回路として動作しているっぽくないか?

う〜ん、トランジスタ検波というのは一体なんなのだろうか。

昔のディスクリートで作られたメーカー製トランジスタラジオの回路図を見てみると、必ずと言ってよいほどゲルマニュームダイオードが検波に用いられている。トランジスタ検波が検波と同時にゲインもあるものだとすれば、メーカー製トランジスタラジオにあってもトランジスタ検波がもっと使われてもよいように思うのだけど、このへんになにか、トランジスタ検波がいまいち謎であることとの関連があるのかな。

小学生のころはね、なにも考えずに回路図組み立てて『鳴った鳴った』と喜んでいた私。でも、今になってひとつひとつのことを改めて検証してみると、謎があまりにも多い。

まぁこのへんのテーマは趣味の道楽なので、時間のあるときに地道にやっていきたい。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]
_ 福井 孝 (2009-12-05 05:02)

再生検波ラジオを作っています。昔は、真空管でしたが、今はFETで、ブレッドボードで予備実験して、ラグ板にモジュール単位で製作しています。FETは、2SK439Eを使っています。ジャンクボックスに転がっていたので、192も241も転がっています。上手くスムーズな再生検波にならず、コイル巻き巻きで、カット&トライです。当方も、わに口クリップ配線です。低周波アンプがいまいちで音が悪いです。<br>短波放送用です。DXing用の受信機も2台ありますが、やはり手作りラジオでBCLです。当方の帰還はVRです。発振がコルピッツみたいです。空中配線に近づいています。

_ 青木@管理人 (2009-12-05 09:22)

福井さん、こんにちは。<br>再生検波ってシンプルな割に性能がそこそこ出るので、面白いですよね。また、スーパーと違って内部ノイズが少なくイメージ混信もなく、軽く帰還かけると帯域も広く音が良いので、強力局を聴くにはまさにうってつけの受信方式ではないかと思います。<br>私も一時期、ブレッドボードで実験していたのですがこの手のクリティカルなアナログ回路だと、やはりどうもブレッドボードには荷が重いようです。しっかり半田付けして実験しないと駄目ですね・・・<br><br>私は低周波アンプは386一発で済ますか、クリスタルイヤホン直結で聴くかという感じです。なかなか快適です。

_ 匿名 (2016-06-10 21:11)

かなり前の記事なので解決されてるか、必要が無くなっているかと思いますが<br>エミッタ、ソースに抵抗入れている場合はプレート検波に相当します。BJTで固定バイアスだと該当しないですが、どちらにしてもバイアス点から動作を考えるとB級動作になります。<br>A級では平均動作電流は変わらないですが、B級以降は信号の大きさで平均電流が変化します。つまり、サイン波のような対称形ではA級だと信号が負の領域で減ったのと同じ割合で正の領域があって相殺されますが、B級では逆方向には流れないので相殺されないわけです。<br>ですから、高周波では平滑化されるけれども音声領域では平滑出来ないLPFを接続するとAMのように振幅で変調されている電送方式では復調されるというわけです

_ 青木@管理人 (2016-06-11 08:54)

匿名さん、コメントありがとうございます。なるほど。確かにB級だとマイナス側はカットされちゃいますね。それで復調されるというわけですか。<br><br>なかなか奥が深いです。<br><br>動作電流をオシロで監視して、さらに追及してみたいと思います。<br><br>ありがとうございます。勉強になりました。


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