2007-08-05 鯖をどうする?_ 高尚な考察その2:デジタル画像が写真であり続けるために。夏休みで日曜日。家内と娘は昼前から出かけていったので、久しぶりに完全に自由になるプライベートタイムを数時間ゲットした。 せっかくなので、こんなときこそ高尚な考察を。 『デジタル画像が写真であり続けるために』と題したのは、その現場に居るエンジニアのみなさんは重々承知の通り、イメージセンサーのピクセルサイズは年々小さくなり、SNRも低下し色分離も悪くなっていく。 そんな現状を見るとついついノイズ除去技術や、色分離技術と言ったいわば本筋でない技術に目が行きがちである。 しかし、素人ながらも写真を愛し、よりよい写真を求めたいと思う我ら「写真技術者」が見失ってはいけない重要な点が、写真にはある。 それは、「黒と白の定義」と「階調再現」である。 この二つの要素は、ノイズや色分離とは全く異なる性質であり、かつ、画像が写真として成立するためには絶対不可欠な要素である。 さらに言えば、デジタルであっても、銀塩であっても関係なく、「写真」という世界において共通不変に最重要なものであるのだ。 「黒と白の定義」と「階調再現」を確実なものとするために必要な要素は、ホワイトバランスであり、ガンマ特性である。デジカメに限定して言えば、加えて黒レベルの正確な再現(黒レベル減算値の正確な制御)とセンサー飽和レベルの確保。AE Targetの適切な設定とリニアリティー補正などである。 このへんはね、いまさら私が取り上げるまでもない写真の基本だし、画像処理屋の基礎知識でもあるが、とはいえ、これがどれほど重要なもので、これらにどれほどのパワーをかけるべきことなのかを本当に理解しているエンジニアは、それほど多くは居ないのではないかな。もちろん私もまだまだ修行中の身。ここで風呂敷広げられるほどの身では無いのであるが。 「黒と白の定義」と「階調再現」がそこそこバランスしている写真は、色情報がなくても写真としてきっちり成立する。撮像系の調整を担当していて、パラメータお遊びできる立場に居る人は調整中に一度、彩度をゼロにして屋外を撮影してみるとよい。そうでない人は、JPEG画像をなんらかの画像処理ソフトに読み込ませて、彩度をゼロにしてみても可だ。美しい写真というのは、色の有無に関わらず美しいものである。 ゾーンシステムという言葉や、アンセルアダムスという写真家の名前を知らない人で、「黒と白の定義」と「階調再現」に興味を持った人は一度ぜひ、ゾーンシステムを勉強されることをお勧めする。 ゾーンシステムとは、1930年代にアンセルアダムスという人が中心となって考えられた、写真上で階調再現をコントロールする手法のことである。時代から見てわかる通り、ターゲットは銀塩のプリントであり、しかも大判サイズを前提としている。が、その考え方は写真の基本である「黒と白の定義」と「階調再現」に基づいており、デジカメの画質調整にも充分応用展開できるものである。 私も銀塩写真でさんざんこれをやってみたことがある。 あんまり踏み込みすぎるといろいろとややこしい世界に遭遇してしまうことになるが(どんな世界でも、踏み込みすぎるとややこしいことになる)、ゾーンシステムから得られる知識がデジタル画像の写真画質調整上有意義なものであることは間違いない。 しかし、写真というものは最終的には人間が見て知覚するものである。ゾーンシステムが全てではないということも、忘れてはならない重要なポイントである。 「写真として再現しなければならないもの」と「(デジタルゆえに)処理しなければならないもの」というのは、比較的明確にわけられるのではないかと最近思っている。 前者は、上で書いた内容であり、これはデジタル銀塩問わず共通に重要な内容だ。 後者は、デジタルで言うならばノイズの除去であったり、色分離であったり空間周波数制御(LPF/HPF)であったりといったところか。 そう考えると、Auto White Balance制御と、センサー黒レベル制御というものは、相当なリソースを割いて研究する価値があると思うべきだな。圧倒的に正確なAuto White Balance制御というものを確立できなければ、白の定義が出来ないということになるからだ。 また、白以前に黒レベルの制御はさらに大切だ。 最近のCMOSセンサーは賢いので、センサー黒レベル制御は外部から設定してやればセンサー内部でOB処理されて、指定オフセット値で出力されてくる。 なんでも自分の手で調べてみないと気がすまない しかし最近では(調整工数が確保できないという事情もあり)、センサー仕様書を鵜呑みにして、この黒レベルを処理してしまっている。 このせいかどうかわからないが、どうも、最後の最後まで、なんとなくしゃきっとしない感じがすることが多い。 一度、少し時間をかけて、このへんも再検証してみたいところだ。 _ サーバあれこれ。自宅にサーバをおくとなにかと大変だ。 以前、kani.com は固定IP8個の専用線で自宅サーバで運用していたのであるが、メンテナンスにかかる工数が確保できなくなり、2002年以降ホスティングサービスプロバイダのお世話になっている。 しかし最近、ここでも紹介している通りどうも不安定な運用が続いている。 とはいえ、また自宅にサーバ置くのは大変だしなぁ。 ということでホスティングサービスプロバイダ乗り換え検討を開始。 でも、今のところもかなり吟味して探しただけあって、なかなかに居心地が良いのも事実。 うむ。 もっと読みたい奇特なかたは、↓の読みたい月をクリックしてね。 |
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一度でも白黒やった人ならハイライトとシャドウの決め方とか、諧調の出し方は自分なりにいろいろ研究するもんですが、自分の仕事がらみでもあんまり気にしない人も最近多いですからねえ…悲しい事です。<br><br>ということでレベル補正とトーンカーブ、それから最小限のトリミングとリサイズさえできればいいですからCBIのOS Xネイティブ版を気長に待ってます(^^;
> ホスティングサービスプロバイダ乗り換え検討を開始。<br><br>前に書いたかもしれませんが 私は value-domain<br>http://www.value-domain.com/<br>で、いくつかのドメインを使用しています。<br>サービス自体は (私の使用範囲内では) 特段の支障はありません。<br>価格的にも 他社よりは安価だと思います。<br>(ユーザー向けインタフェースは、親切とまで言えませんが)<br><br>すでにご存知かとは思いましたが ご参考まで。
> CBIのOS Xネイティブ版<br>うわっ。超巨大プロジェクトだっ!<br>ComeBackImageってコード設計が古いから、X化に際しては全部書き直しなんですよね。<br>まぁ、気長にまっておくんなまし。
実はkani.com以外にドメイン5個持っているのですが、それらは全部value-domainで管理さしてます。<br>確かに安価でよいのですが、受信メールの制限やストレージ容量、cronの実装可否などで仕事用ドメインとしては若干物足りないのも事実です。<br>光+固定IP8個でまた自前でやろうかなんて、いけないことを検討中です。<br>ネットワークってほんと楽しいですから、自前でサーバ立てると本業がついついおろそかになってしまいがちで ^^)
さすがに すでにお使いでしたね。value-domain<br><br>> 受信メールの制限<br>って ありましたっけ? ちょっと思い当たりません。<br>アカウント数上限100でしたっけ? <br><br>> ストレージ容量<br>私もいくつかドメインを管理していますが、<br>トータルでも 2500円/2GB 年のプランひとつ で十分なんです。<br>お仕事用だと 10GBくらい必要なんでしょうか。<br>そうなのであれば この 8月にサービス開始した<br>http://www.coreserver.jp/<br>(value-domain の上位サービスのようです)<br>で、5000円/15GB 年 というのがあるようですね。<br>(cronの実装可否など、詳細の条件は 詳しく見ていませんが)<br><br>> 自前でサーバ立てると本業がついついおろそかになってしまいがち<br>そうそう、本末転倒、ということになっちゃいますよね。
USEN gate02使ってます。/29 (IPv4 addressは5個)ですがいいですよ。
/29で運用上は充分ですよね。うーむ。
http://www.coreserver.jp/ 見てみました。C/P高いですね。<br>でも、セキュリティー(ヒューマンのほう)はどうなんだろう。遊びのドメインはまぁリソース保護はどうでもいいのですが、仕事用のドメインだと例えばメールのセキュリティー(サーバ管理サイドのモラル等)はどうなのかとか、気になります。<br>http://www.coreserver.jp/ がセキュアでないと言っているわけではないのですが・・・<br>まぁ、どこであろうと素メールは「当然傍受されているもの」として考えてはおりますが、それでも気休め的に少しでも・・・と。<br>その点だけは自前サーバ時代は、安心でした。
とはいえ、経路上で抜かれたら防衛不能ですが、それはもう、昔のコードレス電話、アナログ電話だと思って使うしかないかと。
セキュリティの面のご心配であれば<br>コスト・手間がどうあれ、自宅(自前)サーバしかないでしょうね。
自前は大変なんですよね。安心して家族旅行にも行けません(これマジ)。<br>でも、ほんと、まつさん言う通りなんですよね。<br>あー、どうしよう。うりうり。
わたしの家に青木さんのサーバを、青木さんの家にわたしのサーバを置くと…<br><br>ふたりとも眠れない(笑)