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かにの泡ぶく


2014-03-11 あれから三年・・・

_ 14時46分。

黙祷。

_ STAP細胞に暗雲立ち込める・・・(13時16分記)

あまりにも画期的な発見で世界を震撼させたSTAP細胞。しかし、発表直後から、論文への疑義や実験の再現が出来ない等々、いろいろと指摘がなされておりました。

とてつもない発見なので、まぁある意味こうして良くも悪くもツッコミを受けるのは仕方のないことですし、こうした過程を経ることで、論文内容の正当性が確認担保されていくわけですから、私は情報収集ならびに静観を決め込んでいました。

そして3月5日、世界で再現実験に取り組まれている研究者向けに理研から、STAP細胞の実験再現プロトコルが開示されたのですが、私はそれを読んで、「ぇえっ?」と、かなり驚きました。

そして遂に、論文共同著者の一人である山梨大学の若山照彦教授から論文撤回の提案が出されるという事態に。

当該ドキュメントは理研のWebから落とせますので、興味あるかたはそちらをご覧いただくとして(というか、興味あるかたは、とっくに読んでますよね ^^))、ぶっちゃけ簡単に言うと、「STAP幹細胞にTCR再構成は確認できなかった」ということが書いてあります。

簡単と言っても、専門知識が無いと何を言っているのかさっぱりわかりませんね。

私も生命科学の専門家ではないので偉そうなことを言える立場では無いのですが、このすぐ下で書いた 「STAP細胞は、画期的過ぎる発見だ!」 にある通り、STAP細胞のキモというか、あまりにも劇的だった点は、『一旦ゆで玉子になった玉子を、生玉子に戻す方法を発見したようなもん』という部分であったのです。

それが今回、理研から開示された実験再現プロトコルでは、『生玉子が、ゆで玉子由来であることは確認できなかった』ということが書かれていたわけです。

もう少しちゃんと書きますと、STAP細胞のキモは、『一旦分化した細胞の遺伝子に、なんら人為的に手を加えることなく、簡単な刺激を与えるだけで、分化した細胞を分化前の状態に戻すことができる』というところなんですが、そこがあっさり、「TCR再構成は確認できなかった」すなわち、『分化した細胞が分化前の状態に戻ったという事実は確認できなかった』と言っているのです。

どうするんだよこれ。

現時点では、まだ、小保方さんが発表したSTAP細胞論文の実質的内容の真偽を明らかにするだけの材料はありません。

また、仮に、STAP細胞論文の内容に疑義があったとしても、STAP細胞自体はあるのかもしれません。小保方さんが発見し、論文発表したものとは全く違う原理で生成、もしくは確認されている可能性もあります。

いずれにしてももうしばらくは、事の成り行き、情報収集を続けたいと思いますが、現時点で得られる情報から判断すると、当初の理研が発表したセンセーショナルな内容からは、かなりかけ離れてきていることだけは事実だと感じています。 真偽は別としてここまで無理筋な展開になってしまっている以上、研究成果が真実であるのならなおさらのこと、一旦論文を撤回し、再実験、再構成、必要なデータをそろえる等して、出直すほうが賢明かと思います。

そして、山梨大学の若山照彦教授の勇気ある決断と提案に、敬意を表したいと思います。


追記

日本分子生物学会から、理事長声明『STAP細胞論文等への対応についての再要望』が出されました。URLはこちらですが、以下に全文を転載いたします。

2014年3月11日

理事長声明『STAP細胞論文等への対応についての再要望』

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 理事長 大隅 典子

日本分子生物学会は STAP 細胞論文等に関わる問題について憂慮し、3月3日付けで、理事長声明と言う形で理化学研究所に今後の規範となるような対応の要望を出したことは周知の通りです。

その後、著者の一部から、プロトコールという形で3月5日に実験方法の一部詳細が発表されました。しかし、その内容はむしろ論文の結論に新たな疑義を生じるものでした。その結果、ここ数日、研究者コミュニテイーだけでなく社会的にも著しい混乱を招いております。そのような状況の中、昨日3月10日付で共著者である山梨大学の若山照彦教授から「STAP細胞の存在について確証が持てない」という趣旨の発表がありました。

科学論文は実験結果に基づき、その正当性が初めて保証されます。残念ながら、今回の論文等に関しては、データ自体に多くの瑕疵が有り、その結論が科学的事実に基づき、十分に担保されているものとは言えません。また多くの作為的な改変は、単純なミスである可能性を遙かに超えており、多くの科学者の疑念を招いています。当該研究の重要性は十分に理解していますが、成果の再現性は別問題として、これら論文に対しての適正な対応を強くお願いします。

日本分子生物学会は、以下のことを理化学研究所に強く要望します。そのような対応が研究の公正性を維持し、日本の生命科学のさらなる進展に繋がると考えられ、また今後の規範になることを信じています。
  1. Nature論文2報(Nature 505, 641-647, 2014; Nature 505, 676-680,2014)に関する生データの即時、かつ、全面的な開示、および、同論文に対しての迅速かつ適切な対応(撤回、再投稿などを含む)

  2. このように公正性が疑われるような事態を招いた原因に対する詳細な検証と報告

我々、日本分子生物学会は、今回の件を決して一案件として捉えている訳でなく、科学者を取り巻く環境を含めた、研究に内包する喫緊の問題として、自省、自戒を持って、過去の同様なケースと共にこの問題を注視しています。今後の報告を含め、様々な事案を検討することで、我々、研究者が今一度、研究の公正性を含む研究倫理の問題として再度真剣に把握、分析し、システムの改善の努力に取り組む所存です。責任ある健全な研究成果を社会に対して発信するためにも、我々も襟を正してまいります。

これを読む限りでは、論文自体に作為的な改変があるばかりでなく、私が上記で指摘したキモの部分についても明確に 「新たな疑義を生じるものでした。」 と指摘されております。

他にも各方面で報道されている情報を検討吟味してみるに、現時点では私も、STAP細胞論文は、その内容は真実では無いと判断せざるを得ません。

となると、STAP細胞と呼ばれるそのもの自体も、存在していない可能性が高いです。

この問題は、上記日本分子生物学会の理事長声明にもあります通り、STAP細胞の件だけで済まされることではありません。

なんでこんなことが起きてしまったのか。その背景、環境、状況の徹底した調査が必要です。

これは日本国内だけの問題ではありません。日本の科学が世界から全く相手にされなくなるほどの、莫大な影響力を持った事件です。


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