2012-03-06 弥生雨降る春の道中。_ 初出荷。(21時55分記)今日は仕事で、感慨深い出来事がありました。 なんと、かにこむ 創業以来、はじめて モノ を出荷しました。 モノを作って売るっていうことが、これほどまでに大変で楽しくて、そして寂しいものだと、知りました。 ・・・・・ かにこむ の事業内容の中心は、ソフトウェアやアルゴリズムの開発、いろいろな製品の設計開発支援です。納品物は言うなれば、基本的には物理的な実体の無い、デジタル化されたビット列や知的財産、ノウハウ等の無形物です。これらがCD-R等に焼かれて有形化することはありますが、それは納品実体とは関係のないものです。 このたび、かにこむ創業以来はじめて、試作品とは言え実際に私の手で実験評価し、ケース加工し、組み立てて、検査し、梱包までした物理的実体を持つ製品を4式出荷しました。 いや〜〜〜、モノ作りって、実際やってみると本当に大変で楽しくて仕方なかったです。ソフトウェアは当たり前ですが、経年劣化しません。結果再現性は間違いなく100%ですし、バージョンアップもビット列の差し替えのみ。メールで送ったりできちゃいます。 しかし、モノって、経年劣化するし、自分が作ったモノが納品先でも本当に同じように動くのか? ・・・少し落としたぐらいで壊れたりしないか? ・・・電池逆接されても大丈夫か? 等々、もう心配で心配で、毎晩毎晩夜遅くまで睡眠時間削ってひたすら実験評価をしまくって、床に落としてみたり、テスターとオシロにらみながらドライヤーで70度まで加温してみたり・・・ これなら大丈夫だろうという確信を得るまでには、予想以上に莫大な時間を要しました。 そして本日晴れて出荷の日。 精魂込めて作ったこのモノたちが、手元から居なくなるのは少し寂しいものです。物理的な実体って、納品したら手元からなくなっちゃうんですよね(当たり前だ)。それは、ソフトウェアには無い概念でした。 農家のひとたちが、出荷に際して自分たちが作った農作物を指して「娘を嫁に出す気分だ」と言っているのを耳にすることがありますが、あの気持ちがどんな気持ちなのか、少しだけわかった気がします。農作物を生産するのは大自然相手で時間も手間もほんとうに膨大。私が今回作った工作物とは比べようもないほど大変なことだと思うのですが、それでもなんとなく、私も、なんだか自分の子どもを旅に出す気分です。 旅先でも元気で動くのだぞ・・・みたいな。 ・・・・・ ちなみに今回製作出荷したモノは、なんと「シンチレーション式ガンマ線量計」。iPhoneに繋げて使います。まさか かにこむ が、線量計の製造販売をする日が来ることになろうとは、一年前には全く思っても居ませんでした。 性能は、当初目標としていたレベルを軽く実現。私の自室の空間線量 0.060 uSv/h 程度のレベルでも、2分もあればプラマイ0.01 uSv/h 精度で測定できます。 なんせソフトウェアと違って全く同じ複製を用意することは不可。ソフトウェアのようにコピーして複製なんてこともできまませんから、受注は4式だったのですが、5式を作って1式はリファレンス用として、手元に残します。 これら かにこむ製線量計試作機4式 は、東北地方のどこかの庵で今後の人生を送る予定です。 頑張れよ! もっと読みたい奇特なかたは、↓の読みたい月をクリックしてね。 |
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素晴らしいお仕事です!<br>以前いた某社でも感じましたが「もの」を作ってる人たちって本当にステキです。精魂込めた新製品の出荷時には、今も「初荷」のお祝いをしているんじゃないかなぁ。
ありがとうございます!<br><br>初荷のお祝い・・・ほんとうですね。私もこの日は、祝杯をあげました(って、毎日なにからしら言い訳付けて晩酌っているわけですが)。
遅ればせながら、おめでとうございます!<br>かにこむ印の線量計、めちゃめちゃ信頼できますね。<br>東北でのご活躍を確信しております。<br>実はFBのほうにもお邪魔して拝読しております。<br>隠れ(てないか)ファンです。
濱文様さん:温かきお言葉をありがとうございます。<br><br>手前味噌で恐縮ですが、試作と言えども精度には結構自信があります。「安価に」「実用以上の性能を」という主旨で試作したのですが、早くも次フェーズの試作依頼がありました。<br><br>かなり間接的ではありますが、正確な線量測定手段を持つということを通じて一人でも多くの人が、放射能に対する自分なりの基準やスタンスを作るためのお手伝いができればいいなと、思っております。