2010-01-08 シンプルは奥深い。_ ゲルマラジオでスピーカーを鳴らす。今年に入ってからまたぼちぼち、ゲルマラジオの実験をしています。 今更ゲルマラジオなんて・・・って感じですが、こればっかりは私のライフワークですので何歳になってもやめられません。 このゲルマラジオのおかげで、私はエンジニアの道を歩むことになったと言っても過言では無いと思うわけで、言うなればエンジニアとしての私の原点でもある電子回路なのです。 私ぐらいの年代のみなさんは、作られたかたも多いんじゃないでしょうか。私も例に漏れず、小学生のときに、はじめてのゲルマラジオを経験しました。 ものの本によれば「巨大なアンテナとしっかりしたアースが無いと鳴らない」「それでも蚊の鳴くような音なので、静かなところで気持ちを集中して聴くように」なんて書いてあるものですから当時の私は、家の近くの木に登って10メートルぐらいの高さから引いた20m長ぐらいのロングワイヤに、庭に1m長ぐらいの鉄の棒を3本打ち込んで水を撒き、乾かないように大きめな植木鉢を上に置くという周到さでアンテナとアースを確保したのでした。 さて、見よう見まねで組みあがったゲルマラジオ。クリスタルイヤホンを耳にあて、アンテナをつなげてみるといきなりの大音量に仰天です。 どこが蚊の鳴くような音なんだ! イヤホンを机の上に置いた状態でも、音がしっかり聞こえてくるほどのパワーです。バリコンどこ回してもJORFしか聞こえません。 これを作った小学生のときは、世間のことなぞなんにも知りませんでしたのでまさか当時の住居から直線距離で2KmのところにJORF(当時1420KHz, 30Kw)の送信所があることなぞつゆ知らず。超強電界下でこんな空中線張ったらそりゃすごいパワーで電波受けてしまいます。 このゲルマラジオはイヤホンの代わりにLEDを繋げれば常夜灯(?)のごとくぼわぼわ光り、普通の8オームのスピーカーをいきなり繋いでも、小さいながら充分聴き取れるぐらいの音量で駆動してました。 いやしかし当時はマジで感動というか、感激というか、実に不思議な興奮を覚えたのを今でもはっきりしっかり覚えています。そもそも、なんで電池が無いのにラジオが鳴るのかが不思議ですよね。 はじめて聞こえたその番組は「若山弦蔵ショー」。ちなみに当時は若山弦蔵さんのことなぞ知りませんでしたから、ゲルマラジオでこの番組のタイトルコールを「和歌山現像所」と聞き取った私。『なんで和歌山現像所がラジオ番組名になっているんだろう』なんてわけのわからなさすぎる勘違いをしてしまったなんてことも、まだ覚えています。 そんな昔をふと思い出して、『そういえば今の住居でゲルマラジオでスピーカー鳴らせるかな?』と、思い立ってあれこれ実験を開始してみたのです。 今の住居は神奈川県横浜市内ですので、直線距離2Kmの当時に比べれば随分離れてしまいましたがそれでもJORFが強電界であることに変わりはありません。 軽く実験ということで、以前、大人のJAZZTIMEのために作ったゲルマラジオに、アンテナとして303WA-2 を接続してスピーカーを鳴らしてみました。 さすがに8オームをゲルマ直結では全く鳴りません。当たり前ですね。 それでも、出力変成器を付けてみるとまさに蚊の鳴くような音で、なんとか鳴っています。 手持ちのトランスをいろいろとっかえひっかえ試してみると、なんと意外にも小型の電源トランスが一番よく鳴ります。100V->9V/0.3Aのもの。 さらに、少しでも音への変換効率を上げようと、大昔自作スピーカーに使っていたテクニクス5HH10という、ホーンツイーターを2個直列に入れてみます。合成インピーダンス 8x3=24オームという状態。これがなかなかよく鳴ります。 静かな室内で精神を集中していれば、PCで作業していながらでもアナウンサーの話している内容が80%ぐらい聴き取れる感じ。スピーカーから耳までは60cmぐらいの距離です。 それほど気合を入れないで作ったゲルマラジオでここまで鳴れば、さらにパワーアップさせることができそうな予感です。 JORF専用になっちゃうでしょうが、スピーカーを駆動するゲルマラジオというテーマで、久しぶりにいろいろ実験していこうかな・・・なんて、思っています。
もっと読みたい奇特なかたは、↓の読みたい月をクリックしてね。 |
最新ツッコミ |
このエントリー、読み損なっていました。<br>「和歌山現像所」にウケました。その後、ジェームズ・ボンドの声の人と知るわけですよね〜
そうそう。そうなんですよ。<br>でもあの当時は、完全に和歌山現像所だと思っていました(笑)。子供ながらにお恥ずかしい。