5月27日の話題は、興味をもっていただいた方が多かったようで何通かメールでご意見ご感想ご質問をいただきました。 ま、ここ「かにの泡ぶく」でも、久しぶりの画像系読み物でしたしね。 で、なかでも、「センサーが同じでも後段の処理が違うと品質が随分違うんですかぁ、へぇ〜」って感じの感想が多かったので、もう少し、雑談ですが突っ込んでみたいと思います。 例えば私が実験してみたこれ「ちょっとイジワル?」は、なんと、カメラが同じで現像ソフトもメーカー純正でありながら、カメラで作った画像と現像ソフトで作った画像がまるで違うものになっちゃいます。これなども、「センサーが同じでも後段の処理が違うと品質が全然違う」よい例でしょう。また、最近では各社いろんなRaw画像デコードソフト・・・いわゆる「現像ソフト」を出してます。これも、同じカメラのRawを処理してみても、現像ソフトによって出来た画像が全然異なるわけですね。 このような現象は、発生要因がまるで違いますが銀塩の時代からあったものです。 例えば撮影されたネガフィルムを同時プリントで現像に出すとき、お店によって仕上がりがまるで異なるのはよくあること。ラボ店の系列(使っているミニラボ機や印画紙等)が異なれば、これまた全然違う色調になって上がってくることも珍しくありません。 こうなってくると画質を議論するのって難しくなってきちゃいますよね。まず、基準となるべき品質をどこにもってくるかという時点で、喧々諤々です。 そんな状況を少しでも収束させようとしたのかどうなのか、過去にいろんな標準化が試みられ、いまでも試みられているのかもしれませんが、決定打はまるでありません。 それはなぜかと言いますと、写真画質というものの評価基準はあくまでも鑑賞者の主観であって、感覚量であるからです。 確かに標準光でマクベス撮れば、その画像が定義された色域で色再現性が正確かどうか? 階調性はどうなのか? を定量的に評価することは出来ますが、だからそれがどうした? って感じで一般のユーザーにはほとんど関係無いことです。マクベスがちゃんと写ることよりも、大切な人が綺麗に写せて、料理がおいしそうな色合いに写って、快晴の日の青空は抜けるような青で写るほうがよっぽど重要なのです。 ただ、ひとつ言えることは、マクベスすらもまともに写せない撮像系は、とてもじゃないけど日常スナップをまともに写すことはできないということです。 今のところ普及型デジカメの出力画像情報量は、RGB各色8bitで、合計約1677万色(同一色相上のグラデーションスケールも色に数えて)。さらに4:2:2のJPEG記録が主流であることを考えますと、実質600万色ぐらいでしょうか。もちろんRawで撮って16bit/chで現像して16bit/chのTIFFで保存すればもっともっと多いですが。 人間の英知をもってしてもまだまだ手に負えない大自然のもつ光の情報を、この、たったの、RGB各色8bitに入れ込むなんていうことはそれはそれは大変なことなのです。 だからこそ、マクベスがちゃんと写るってことは最低限度必要なことであり、マクベスがちゃんと写ってこそ、ようやく話ができますねって感じでしょうか。 デジカメの撮像系・・・特にセンサーからの信号を受け止めて処理する画像処理システムの設計、調整というのはまさに、大自然を相手にした真剣勝負なわけです。