<< 前のヨタ話 |
ヨタ話Index |
2004年のヨタ話 >>
2003年12月7日 14時07分:思えばもう12月。
12月と言えば師走。
そう、自営業は今月が期末なんです。だから、あーだこーだと、忙しい。かにこむも、今月の売上を持って2003年度の売上が確定して、あとは確定申告へ向けての経理業務が忙しくなります。
と言ってもね、かにこむは自営業とは言っても、日々お金の出入りがあるわけじゃなくって、取引先はほとんど法人クライアントだから、まとまって末締め翌々月末支払いという感じなので、それほど大変では無いですね。仕入れという概念もほとんど無いですし。
経理情報は全てExcelで管理しているのですが、今期は四半期毎にディスクロージャー資料を作成してみたこともあって、経理情報は結構すでにまとまっていたりします。今年度の確定申告は、例年になくスムーズなものになりそう。
右図は、今期10月末時点での実績ですが、こんな感じなグローバルサマリー以外に、詳細な数字の入ったB/S、P/L、中間決算書なども四半期毎に作成していたので、いい感じで経理処理できてます。なんでそんなことしていたのかは、ヒミツですが。
--------
振り返るにはまだちょっと早い感じの師走のはじめですが、今日みたいになんとなくのんびりしている日曜日も珍しいので、ちょびっとだけ振り返ってみることにしましょう。
そうですね〜、かにこむ的には、今期は『本当によく活動したな』という、かなり充実した1年であったと思います。ぇえ、私としては、毎年毎年、ひぃひぃ言いながら全力でクリアしているつもりですが、そのなかでも今期はようやくマトモにというか、なんというか、力任せの勢いだけでなく、ちゃんと事業戦略的に動けて、相応の成果が出せたかなって印象です。
広く世の中の利益、個人の生活文化の向上発展に寄与しつつ生活収入を得るという基本理念に則り、独立公平永世中立、クライアントへ最大利益を提供すべく自身のリソースの最適配置、時間の有効活用と、そして、私の持つ極めて限られた能力を最大限有効に発揮しつつ、一方で目先にとらわれずに将来を見据えた研究開発、スキルアップという視点で絶妙なバランスを取りながら経営判断を行ってきましたが、いよいよ来期は、事業規模の拡張を検討しないといけないかなっていう段階になってきているようです。
現状あらかじめ時間が足りないことが明らかな案件では、クライアント付きの案件の場合は事前に打診了承を得た上、スポットでアルバイトさんを雇ってコーディングをお願いする等して消化しておりますが、キャパ的には私一人では、ほぼ手一杯になってきました。ありがたいことです。
法人化というのはいろいろ(本質的でない部分での)面倒なことが多いので、このまま個人事業所として所員を雇うという方法もあるのですが、一方で、雇われる側から考えると、雇い主が個人事業所というのは、はなはだ心許ないところがあるだろうし、社会的信用(例えばローンを組むとかね)という面で不利益もあるだろうし、いざ、人を雇うということを考え出すといろいろと悩んでしまうことも事実です。もちろん、心意気的には、『雇われ形態がなんであろうと、おいらは食っていける人間になるんだ』というフロンティアスピリッツを持った人を雇いたいと思っておりますし、そういう人に来て欲しいと思うのですが(かにこむスピリットには最低限合意して貰わないことには仕事にならない)、実際世の中で生活しようとすると、自分の心意気だけではどうにもならないクダラナイ判断基準があるということも、私含め自営業のみなさんは重々ご承知のことと思います。
私一人でやっているときはいいんですよ。私自身がどうにかすればいいんですからね。そんな見方をするやつ&組織に対しては、『けっ、自営業だからって見くびられたもんだな。かっ』とか言って相手にしなけりゃいいだけなのですが(かなり強がり言ってますが ^^))、しかしこれはかなり厳しいことでもあります。そんな理不尽をかにこむ所員には感じて欲しくないので、せめて有限会社、今だったら株式会社も1円で設立できるので、ちょっとだけ検討しようかなぁという気になってきております。
でもやっぱ面倒だなぁ。なんとか法人化しないで、しかも、順調平和有効に事業規模拡大できる方法を考えよう。
--------
今年のはじめのうち(1〜3月頃)は、なぜか宮崎ばかり(週に2回も日帰りで)行っていましたが、4月には久しぶりに海外出張で台湾入り、そして、その後さらに2件海外出張がありました。ひとつはマレーシアのペナン、もう一つは、中国の天津、TEDA経済特別区です。
4月の台湾が生まれて初めてのアジア渡航でしたが、今回は、さらにマレーシアと中国。ペナンはよいところで(飛行機がビジネスクラスだったこともあって ^^))大変快適な旅だったのですが、中国はいろんな意味で驚くべき事ばかりでした。
『恐るべし中国』
って感じで、旧共産圏の名残の部分と、TEDA経済特別区のような、世界の先端を走る業界の空気が漂うような雰囲気の地域。一方で、その中で働く人々のさまざまな環境(賃金、就労環境、人材確保の仕組みなど)などなど、聞いては居ましたが実際に自分の眼で見て肌で感じると、その驚き、衝撃は大変なものでした。
かにこむは今のところは中国への進出は考えておりませんが、ゆくゆくはなんらか関わっていかないわけにはいかないだろうという強い印象を持ちましたねぇ。
一方で、(中国の国策としての中国を含め)彼らは今、徐々にですが急速に自国のリソースを世界に向け開放しはじめております。三国志の時代から考えたとして、中国がまさに世界を制覇できるのは、今の時代なのではないのか? と思えるほどのキャパを私は感じました。そんななか、日本はどうやって振る舞うべきか・・・もうちょっちわかりやすい言い方をすれば、どう、彼らと四つに組むのか。かにこむは、私としてはなにを持って自身の価値を見いだし、維持できるのか、維持すべきなのか・・・というなんだか柄にもなく極めて大きく抽象的な国家的、世界戦略的思索に耽ってしまいました。
日本をはじめ所謂工業先進国は、単に人件費が安い(=アッセンブリコストが安い)という理由で、家電製品、コンピュータなど情報機器をはじめいろんなものの量産を中国、東南アジアに移しています。日本では何をやっているかというと、一応、企画からはじまり設計開発、試作、評価をやっていることになっていますが、どうなんでしょうか。モノを作るという視点で考えた場合、もっとも泥臭い現場はやはり量産現場であり、試作品を数百個作ったぐらいではわからない、あるいは判明しない、いろんな製造上のノウハウが量産現場にあるのではないかと思います。
資本主義の原理からすれば、量産コストを下げるために製造拠点をコストの安い地域に移すことは正しい判断だと思いますが、現場からのこれらノウハウのフィードバックを怠るとこれは大変なことになりますね。
『机上エンジニア』っていうんでしょうか。現場を知らない、机の上だけでのエンジニアリング経験しか無いエンジニアがマネージャーになると悲惨です。現場を知ることは極めて重要なことであり、料理人になる第一歩は厨房で床掃除というのは、時代遅れでもなんでもなく非常に重要なプロセスだと私は思うのです。
そんな私も偉そうなこと言えた経験はまるでなく未だに日々修行の身ですが、もともとぺーぺーの新人営業マンで社会人デビューを果たしたってこともあり、現場に身を置くということの重要さはそこそこ若いウチからそこそこ理解しているつもりです。
そこで先の中国ですが。
今、それこそ山奥から出てきて、所謂出稼ぎの女の子達や、いいとこの大学出たエンジニアの卵達が、日本をはじめいろんな国の製造ラインに携わり、毎日毎日いろんなものを自分たちの手で作っているわけです。今は彼らは作っているだけです。でも、彼らは自分達の手でモノを作るということを経験するわけです。私が怖いなって思ったのは、やがて彼らも製造だけでなく、自身で製品の企画、設計開発を行うときがやってくるでしょう。そのとき、彼らは現場のいろんなことを知っている。それに加え、学習したいろんな専門知識を持って研究開発にあたるわけです。
これはまずいなぁ。将来の彼らに勝つのは並大抵のことでは無いな。
と、思った私は、果たして心配性すぎなのでしょうか?
--------
日本の人工衛星が先日自爆しました。その前も失敗。その前も失敗。仏の顔も三度までとは良く言ったものですが、この失敗、みなさん同様私も大変ショックでした。
いろんな評価コメントが出されていますが、これなども、現場を知らないエンジニアが多すぎたためなんじゃないかなぁって、思ってしまうわけです。ちいちゃい模型でちゃんと切り離し実験やったのかなぁとか、コストバランスは大丈夫だったのかなぁとか、いろいろありますけど、論より証拠というか、なんというか、実体験(実験はその一部だ)に基づくリスク評価が正しく行えたのか(行えなかったから自爆になったのだろうけど)。リスク評価出来なかったのであれば、どうしてできなかったのかをちゃんと考えて欲しいです。誰の責任とか、幾ら無駄になったとかではなく(いやそれも重要ではあるけど)、なにがいけないのか。
極めて無責任な言い方ですが、そこそこ実験を繰り返し、そして、そこそこ現場を知っているマネージャークラスの人が居れば、『これはまずいんじゃないかなぁ』という、感覚的なセンスがあると思うのです。多分今回もそういうの、あったのでしょうね。
コスト優先、スケジュール死守ってのは確かに重要ですが、それは基本線が確保できた上での話ですよね。基本線を割った位置で強行しちゃうと、必ずしわ寄せは来るものだと思います。世の中そんなに甘くありません。
自戒を込めて、心に刻んでおくこととしましょう。
<< 前のヨタ話 |
ヨタ話Index |
2004年のヨタ話 >>
master@kani.com