#003特性測定
作成:2009年11月21日
思っていた以上に#003に挑戦されようとしているみなさんが多いことに驚きつつ、そういうことならば・・・ ということで、特性測定っぽいことをやってみました。
設計試作やバラック組みの段階では、いろいろあちこち特性取りしながら『これなら大丈夫だ』という確信根拠を得ながら進めていたのですが、いざ完成品が仕上がってみると案外細かい測定はしなかったりしちゃうもんです。
高精度な測定器があるわけではありませんので、あくまでも参考以下の数値ですが測定値は『悪い方向』にさば読んでいますので、今回の測定結果は最悪ケースと考えてよいでしょう。きっちり測れば今回より良い数値が出るハズ(希望的観測)。
また、測定はプローブを立てる関係上、#003アンプをシャーシケースから取り出した、裸の状態で測定しました。これも、測定値的にはより悪い条件となります。
■測定日時
2009年11月21日(土)10時〜13時 @神奈川県横浜市内
天気:晴れ
気温:18度
■増幅率と最大出力
信号源 :ケンウッドAG-203D
電圧測定:LEADER LS8105(100MHzアナログオシロ)管面読み
負荷 :カーボン抵抗 and セメント抵抗による純抵抗ダミーロード
正弦波 1KHz 100mV入力時の出力電圧
15オーム時 280 mV → 電圧利得 2.8倍
62オーム時 300 mV → 電圧利得 3.0倍
100オーム時 300 mV → 電圧利得 3.0倍
入力電圧をあげていき、出力をオシロ管面観測して波形が少しでも歪んだか? という点の一歩手前の出力電圧を管面読み。歪率1%ってあたりかな?
| 100 Hz | 1 KHz | 10 KHz
-------------+----------+---------+---------
15オーム時 | 1.7 V | 1.7 V | 1.7 V →最大出力 192 mW
-------------+----------+---------+---------
62オーム時 | 4.2 V | 4.2 V | 4.2 V →最大出力 284 mW
-------------+----------+---------+---------
100オーム時 | 5.0 V | 5.0 V | 5.0 V →最大出力 250 mW
ヘッドフォン爆音再生時の出力がせいぜい10mWですから、いずれの負荷でも充分なドライブ能力を持っていることが、わかります。
■周波数特性
信号源 :ケンウッドAG-203D
電圧測定:LEADER LS8105(100MHzアナログオシロ)管面読み
負荷 :カーボン抵抗 and セメント抵抗による純抵抗ダミーロード
正弦波 1KHz 出力を基準とし、入力レベルをそのままで周波数を可変し、
-1.0dB、-3.0dB ポイントをオシロ管面読み。
| -3.0dB | -1.0 dB || -1.0 dB | -3.0dB
-------------------+-----------+-----------||-----------+---------
15オーム 10mW時 | 32 Hz | 60 Hz || 120 KHz | 190 KHz
100mW時 | 35 Hz | 60 Hz || 70 KHz | 130 KHz
-------------------+-----------+-----------||-----------+---------
62オーム 10mW時 | 10 Hz | 20 Hz || 105 KHz | 210 KHz
100mW時 | --- | 16 Hz || 95 KHz | 190 KHz
-------------------+-----------+-----------||-----------+---------
100オーム 10mW時 | --- | 10 Hz || 125 KHz | 260 KHz
100mW時 | --- | 10 Hz || 105 KHz | 180 KHz
1KHz基準に対して、これよりレベルが上がるポイントは無く、グラフにするのが馬鹿らしくなるほどフラットな特性です。
終段Re = 62オームの設計ですとやはり15オームの負荷は少々厳しいか? いやこれは、330マイクロの出力コンデンサ依存か? とはいえ、-3dB 点が30Hz台であればヘッドフォンアンプとしては必要充分以上でしょう。まるで問題ないと言えるスペックです。
AKG K501ターゲットにしたため、当然のことながらハイインピーダンス負荷(100オームオーバー)での特性は申し分ありません。低いほうの -3dB 点は我が家の計測器では測定できませんでした。
■歪率
信号源 :ケンウッドAG-203D
電圧測定:LEADER LS8105(100MHzアナログオシロ)管面読み
歪率測定:ONKYO SE-U33GXを192KHzサンプリングし、WaveSpectraでTHD値を読む
負荷 :カーボン抵抗 and セメント抵抗による純抵抗ダミーロード
自分でも少し焦って何度か取り直したのですが、素晴らしい特性です。しかもこれBad caseでの特性です。
ヘッドフォンアンプは常用出力10mW以下であることを踏まえると、8割方0.1%以下の帯域での鑑賞ということではないでしょうか。電圧上げないでもパワーが稼げる15オーム負荷時の好成績が、特に目を見張ります。
15オーム〜100オーム全負荷において、100mW出しても1%未満です。
■定点電圧測定
電圧測定:METEX M-3270デジタルテスタ(所有する複数のテスタとの同時測定で精度問題ないことを確認済み)
※1 : 24.5 V
※2 : 17.9 / 17.9 V
※3 : 9.26 / 9.38 V
※3点は理想値よりも若干高めですが、こんな程度であればまるでノー問題であることは、上記測定結果が示しております。
もちろん音を聴いても納得のハイクォリティーです。
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