デジタルカメラCoolPix700 vs FinePix1500画像比較・昼編
あとFinePix700とC-1400XLとDS-7も
1999.07.17
master@kani.com / 青木 康雄
昼編は、全て手持ち撮影なため、多少の構図の相違はご了承願いたい。
特筆無き限り、撮影モードはカメラまかせのAUTOモード設定デフォルト。
但し、FinePix1500のシャープネスの設定は、もっとも弱い状態にして撮影した。
撮影画像品質は、全て上から2番目のモードで撮影。だいたいどのカメラも、1/10jpeg圧縮程度の圧縮率になっている。
サムネイルは、オリジナル画像を縮小リサイズしたもので、ノーレタッチ。リンク先の画像は、オリジナル画像をリネームのみしたもので、中身はオリジナルのまんま。
撮影地:横浜桜木町クイーンズスクエア及びその近辺
撮影日:1999年7月16日 14時〜16時ぐらい
天候 :薄曇りのかかった晴れ。直射ほどの太陽光線は無い
クイーンズスクエア内での撮影
◆見どころ
各コマの色調の違い:採光窓からの光は色温度が高めになる。FinePix700以外は全てホワイトバランスオートマッチングのカメラである。C-1400XLがもっともメリハリある見栄えだが撮影時の印象からすれば完全に過剰補正で、サムネイルで比べる限りにおいて現実にいちばん近い感じなのは、実はDS-7だったりする(元画像みちゃダメよ)わけで、次に近いのは、FinePix1500って感じだ。
屋外テラス風茶店
◆見どころ
ラチチュード:画像左上のハイライト部から、右下のシャドウ部にかけての階調の繋がりから、そのカメラの階調再現の傾向が伺える。C-1400XLは、ヒストグラムをぎりぎりまで切りつめてメリハリのある絵を目指す傾向。比して富士FinePix1500、FinePix700やニコンCoolPix700は、なんとか全部の輝度レンジを写しこもうという努力を感じられる。どちらがよいというものでは無く、それぞれの特性を把握して光を選べばよいということだ。C-1400XLの空の部分は完全に飛んでしまい、もはや明るいということしかわからないが、富士FinePix1500、FinePix700やニコンCoolPix700は、かろうじてハイライトの中にも階調差を確認できる。
解像感:画像の左下の、手すりとか左上の葉っぱの描写を見て欲しい。C-1400XL、FinePix700はよく結像しているが、CoolPix700はちょっといただけない。像が流れるのは仕方ないとしても、色の滲みがいやな風に目立っている。こんなことでNIKKORを謳っていいのだろうかとある程度銀塩歴のある私は思ってしまうが、今やそういう時代ではないのかもしれない。C-1400XLはドンシャリながらもきっちり結像しているし、FinePix700もたいしたものだ。FinePix1500は、FinePix700にちょっと劣る印象か? FinePix700よりも若干ワイドで明るいレンズにしたための副作用だろうか(FinePix700 : 7.6mm/1:3.2に対して、FinePix1500 : 6.6mm/1:2.6。ちなみにCoolPix700 : 6.5mm/1:2.6)。
コスモワールド
◆見どころ
色目:やはりC-1400XLがぱっと見でメリハリのある色調だ。しかし、サムネイルを見る限りにおいて、富士DS-7の色の深みも素晴らしく、かつ、なにか遠い昔に忘れてしまったものを思い出させるような味がある(注:ここは個人的愛着からの贔屓コメントなので読み流すよ〜に)
こうして見ると、FinePix1500は、DS-7の色調傾向を感じ、なんだか嬉しいなぁと思うじゃなくてFinePix700よりもよい意味で色が鮮やかでヌケのいい画像だ。C-1400XLはめちゃめちゃヌケまくっている ^^) なにも言うことござりません。
CoolPix700は、なんとなくおかしな色モヤが全面に均一にかかってしまっているような印象の画像。ヌケが悪い。
逆光メリーゴーランド
FinePix700は、AUTOだとフラッシュ発光したので、手動で強制オフ(たぶんカメラが逆光と判断した)。
◆見どころ
ダークサイド再現:わざとかなりな逆光でメリーゴーランドを撮った。影部分がどれだけ表現できるかで、画像の硬さ(軟らかさ)(注1)がわかる。
ドンシャリでつぶれるかと予想していたC-1400XLが、空との引換にダーク部が案外再現されていることに驚いた。最も軟調なのは、FinePix700で、FinePix1500のチューニングは、FinePix700に比べてややメリハリ系(硬め)のようだ。
注1:硬い(軟らかい)について
写真用語のひとつで、中間調の再現性のことを示す言葉。硬調、軟調と同じ。『硬い=コントラストが高い/ガンマが立っている』『軟らかい=コントラストが低い/ガンマが寝ている』ということ。もちろん、どっちがいいというものではない。硬いとメリハリのある絵になるが、ハイライトとシャドウの再現性はあまり期待できない。軟らかいと、全般的に眠たい感じの絵になることもあるが、ハイライトからシャドウまで階調表現域は広くなる傾向にある。
日本丸
◆見どころ
雲の白と船体の白:日中の雲は理論的白にかなり近い白、もしくはグレイである。また、日本丸の船体も白。オートホワイトバランスのカメラであれば、視野内のどこかの色を白と合わせるので、必ずしも雲がグレイになり、船体が白に再現されるとは限らない。雲の微妙な立体感表現の差は、ハイライト部の表現力の差である。
しかしデジカメテストとしての日本丸は、とても懐かしいなぁ。
日本丸-その2
◆見どころ
帆を貼るロープの解像と船体の質感:こういう作画だと、CoolPix700の左下の色滲みもさほど気にならないし、むしろ、解像感の良さが際だって見える。船体の質感描写も、なかなかのものだ。こんな感じは銀塩でもなかなか出せない。
FinePix1500は、ロープが密集している入り組んだ部分で、急激に絵が『がちゃがちゃ』した感じになって、突然解像感が無くなるのは何? FinePix700は、(カメラ内部の)ソフトウェアでシャープネスをかけているのがありありとわかるけど、それを差し引いても解像感は細部でも充分にある。
どーも富士フイルムのデジカメは、色を取れば解像感がどっかで犠牲になり、解像感を優先すると色がちょっとなぁ・・になるという傾向があるように思う。色はよかったけど解像感がちょっとなぁだったDS-7が、DS-8になって解像感が増したら色がなんかちょっとなぁ・・になったのに似ている(懐かしの参考ref)。というか、この傾向を作っている根本的ななにかがあるのだろう。CCDのフィルタ配列なのかなぁ。
日本丸の横にある公園にて
◆見どころ
芝生の描写と右側の白い煙突(排気口)のハイライト描写:芝の色的には、DS-7かFinePix1500の感じが近いが、FinePix1500は、(WB点が)若干青カブリしているような感じだ。う〜む恐るべしDS-7って感じで、色的にはDS-7が鮮やか過ぎるながらも色相的には合っているのかもしれない。
FinePix700とCoolPix700が似たような色調になったのは面白い現象だ。
いずれにしても、新緑の色というのは、デジカメでは(銀塩でもそうだけど)なかなかうまく再現できない色ではあるので、テストするには面白い被写体だ。今回は幸いなことに、ホワイトバランスの拠り所となる白くてまぶしい排気筒があったからよかったが、芝生の中で寝そべった人間だけを写すと、これまた面白い結果になる。今日は(も)モデルさん居ないのでやらなかったけど、機会があれば、やってみたい。
コスモワールドから観覧車を望む
◆見どころ
改めて言うまでもない:というか、今までの見どころと似たような点を見て貰えればいいと思う。
コスモワールド内での撮影
◆見どころ
全体の色目と、背後にちょっとだけあるインターコンチネンタルホテルと空の分離:C-1400XLは、もう空とホテルの壁のトーンがほとんど限りなく同じレベルになってしまって、境目がわからないぐらいだけども、他の画像は程度の差こそあれ、充分トーンが残っている。何度も言うけれども、C-1400XLのこの傾向が悪いというわけでなく、これは最後のまとめで触れるけれども、おそらくはカメラのポリシーであり、これらと引換に、実にパンチのあるヌケまくった画像をもたらしてくれるのだ。
以前より感じていたことだけれども、C-1400XLのハイライトの飛ばしかたは実に巧妙でうまい。嫌みのない綺麗な飛びかたなので、(CoolPix900のハイライトが許せなかった私でも)こういう絵は好きだ。
クイーンズスクエア内。無国籍大皿料理店入り口での撮影
◆見どころ
なんと言ってもこれは色目:照明的には、居酒屋系タングステンランプの照明がされている店先。FinePix1500がもっとも近い線の色調だ。CoolPix700やFinePix700、C-1400XLには、マニュアルモードでホワイトバランスを設定できる機能があるので、これらを使えばもっともっと現場に近い自然な色調になると思う。
FinePix1500とFinePix700以外は、AUTOでは過剰補正気味である。FinePix1500がオートホワイトバランスでありながら現場の雰囲気を残しているのは、シーン自動認識オートホワイトバランス機能とかいうのが効いているってことなのだろうか?
シーン自動認識オートホワイトバランス機能については、
富士フイルムのFinePix1500の解説webでどーぞ。
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