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外部アンテナ端子の謎と改造記ロッドアンテナはちゃんと切り離されるがそれ以上に問題が・・・
2007年12月24日 青木 康雄
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Kchibo KK-S500を買うにあたって、当然であるがGoogleで巷の評判なぞを検索してみた。
概ね好意的に受け入れられているようであるが、『外部アンテナ端子にアンテナを繋げても、内蔵ロッドアンテナは切り離されない』という記述が多く目に付いた。 ま、ポータブルの短波ラジオだし、ロッドアンテナ縮めておけば大きな問題ないだろうってことで、さして気にしていなかった。 が、結論から言うと、少なくとも私が持っている個体は、回路的には外部アンテナ端子にアンテナを繋げた場合、内蔵ロッドアンテナはきちんと切り離される。しかし、それ以上に大きな問題があったのだ。 さて、KK-S500到着したその日の夜、早速外部アンテナを付けてみることにした。 取りあえずは、常用している303WA-2のコネクタを、ミノムシクリップの適当な接続により3.5mmのモノラル(これが重要)プラグに変換し、これを、KK-S500の外部アンテナ端子に差し込んでみた。 が、激しく様子がヘンである。 どうヘンかというと、ロッドアンテナが切り離されないというレベルのヘンさでは無く、あの静かな303WA-2であるにも関わらず激しいノイズばかりが受信され、放送波が全く受信できない。 はじめは、『RFフロントエンドが飽和してぐちゃぐちゃ状態になったのか?』と思い、『仕方ない。アッテネータ入れてみるか』ということになって簡易でそのへんにあったVRを入れてみたが全く変化無し。 なんかおかしい。 『そういえばKK-S500には簡易な外部アンテナが付いていたなぁ・・・』と思い出し、早速リールに巻かれたそれを箱から取り出して見るとなんと! アンテナ端子がステレオミニプラグじゃないか。 ってーことは、さっき私が差してしまったモノラルプラグでは、どっちかのホット側がグラウンドと短絡してしまうことになり、普通であれば『シーン』となるはずであるがなぜか激しいノイズばかりを受信するようになってしまったのはどういうわけだ? 室内でロッドアンテナを伸ばし、3.5mmのモノラルプラグになにも繋げずに外部アンテナ端子に差してみると、明らかにノイズが減る。『うむむ? どうも、内蔵ロッドアンテナは外部アンテナを接続すると、回路から切り離されるようだぞ?』。 気を取り直してステレオミニプラグをジャンク箱より発掘し、素のままKK-S500に繋げて端子間の導通を調べてみる。 LとRはゼロオームなので、どうやら内部で短絡状態にあるようだ。となると、モノラルプラグ付けたときは両方ともグラウンドに落ちてしまうハズ。それなのになぜノイズばかりが受信できたのだ? ・・・むむむむ・・・ ひょっとして、グラウンドに落ちてない??? これってひょっとして、この外部アンテナ端子のグラウンド側って、回路的に浮いているのか? 外部アンテナ端子のグラウンド側が浮いているとすれば、303WA-2を接続した際のノイズまみれも説明がつく。せっかく同軸で引いてきているにもかかわらず、外部導体側が浮いているってことになり、同軸全体が滅茶苦茶なアンテナ線となっている状態ってわけだ。要は、同軸芯線と同軸外皮シールドを短絡してロッドアンテナに直結した状態。 早速テスターを取り出してきて、外部アンテナ端子のグラウンド側と、イヤホン端子のグラウンド側の導通を見てみると、導通無し。外部アンテナ端子のグラウンド側と、電池のマイナス側、プラス側どちらも導通無し。イヤホン端子のグラウンド側と電池のマイナス側は、導通有り。 やられた。KK-S500の外部アンテナ端子のグラウンド側は、回路的に浮いているのだ。まぁよく考えてみれば、ポータブルの短波ラジオだしこんなことがあっても確かに不思議では無い。それよりもここは、ああいう形状の端子の外周側は、グラウンドに落ちているに違いないという勝手な先入観を抱いた私の負けだ。 そうとわかれば取りあえず、303WA-2のHOT側(同軸芯線側)をさきほどと同様にKK-S500の外部アンテナ端子に接続し、303WA-2のグラウンド側をKK-S500のイヤホン端子のグラウンド側に接続してみると・・・ブラボー! 大陸からの短波放送をバリバリ受信しはじめたじゃないの。 まとめると:
こちらに「無改造で確実に外部アンテナを使う法」を紹介した。以下の改造が有効かどうなのかを判断することもできる簡単な方法なので、ぜひお試しを。 (2008年 1月11日追記) 言うまでもないことだが、以下の分解アプローチは私が勝手に作業した内容を記録したものにすぎない。分解を奨励するものでもなければその手順を示したものでもない。かつ、不完全な情報でありひょっとすると私の個体だけの話かもしれない。 要は、真似してジャンクになっても誰も知らないよ〜〜〜って、ことを言いたいのである。 あと、ひょっとすると、外部アンテナ端子の外部導体側がグラウンドから浮いているってのは、私の個体に限った配線ミスかもしれない。もし、これを見て「おいらも分解分解」って思ったかたがおられた場合、ぜひとも、必ず、外部アンテナ端子の外部導体側とイヤホン端子の外部導体側に導通が無いことを確認して欲しい。もし、外部アンテナ端子の外部導体側とイヤホン端子の外部導体側に導通があれば、外部アンテナ端子の外部導体側はグラウンドに落ちているということになるので以下の改造は全く不要である。 そして、もし、導通があった場合には、もしよろしければ私宛連絡をいただけると幸いである。この私の個体の構造がオリジナルの仕様なのか、私の個体に限った配線ミスなのか、はっきりさせたいし。 導通が無かった場合でも無改造で回避する方法もある。それは、イヤホン端子の外部導体部をグラウンドとして用いる方法である。この方法は、本改造が有効かどうかを事前に検証する目的においても非常に有用な方法である。もし、万一にもいらっしゃらないとは思うが、お持ちのKK-S500の外部アンテナ接続時の受信状態を改善したいがために本稿を参考に改造を決意されそうなかたがおられた場合、改造を決行する前に、外部アンテナのグラウンド側をイヤホン端子の外部導体側に繋げて受信状態が改善されるかどうかを確認されたい。 まずはじめに、左図赤の矢印で示した部分のネジをはずす。ひとつはスタンド裏の封印の中にある。当然、封印を破らねばならず、初期不良を含めこれにより完全に保証対象外の個体となってしまうので、ここで「本当に良いんだな?」と、胸に手をあてて再考していただきたい。 水色で示した2箇所に、よくある内爪でひっかかっているロック機構がある。ここを解除するのが当面の難関だ。 おっとその前に、表側のエンコーダーのダイヤルを外しておくことをお忘れなく。普通に引っ張るか、うすべったいものでそっとそっとこじると、外れる。 爪はこんな感じの位置にある。中央付近の爪は、分離する前の下部ボディー(前面側)側面を親指で強めに「むぎゅむぎゅ」しながら上部ボディーを微妙に引き剥がす方向にテンション加えていくと、だんだん隙間が出来てきて、外れかかってくる。 このとき生じた隙間に、すかさずうすべったい丈夫ななにか(私は腕時計の裏蓋オープン用の板を使ったが、電工ナイフの刃などでも可と思われる。カッターナイフはキケン。刃が折れる)を差し入れ、少しずつ写真向かって左方向に、「ぐりぐり」こじりながら移動していくと、あるとき突然「ぱかっ」と、左側の爪と一緒に写真のごとく外すことができる。 言葉でいうとなんのこっちゃ意味不明であるが、まぁ、もし追試されるかたがおられたら、ここは落ち着いてじっくりと短気を起こさず臨んで欲しい。ここが最大の難関である。 無事爪が解除できたらそれ以上は開かないようにし、外部アンテナ端子がある側の外部コネクタとスイッチをボディーから分離する。斜めにあげてすっとずらす感じ。 そして、苦労して解除した爪を下部に向け、写真のようにラジオを立てて一息。内部でフレキがまだ繋がっているためにこんな風にすることができる。 このフレキは特にロック機構は無く、コネクタにたんに刺さっているだけなので慎重に指を入れて、コネクタ側直近を指で掴んで「うりうり」やってコネクタから外す。すると、写真のような状態に開くことができる。 意味不明にぶっといスピーカーケーブルと、無理矢理はめ込まれて型がついてしまっている電源コードが気になる。これは再組み立て時に物理的ストレスを与えることになりそうなので、あとで配線しなおすこととする。 電池ボックスへの配線と、スピーカーケーブル配線、DX/Local切り替えスイッチのすぐ上にあるロッドアンテナからの配線を半田コテで外し、コネクタを外し、基板を止めているネジを外せば基板を取り出すことができる。 ACアダプタ用のコネクタのすぐ脇にあるネジは見えにくいので注意だ。 外した基板。かなり汚い。フラックスの残りがかなりあるし、なんか得体の知れぬふわふわした、カビのようなものがところどころ発生している。できることなら見ないで済ませたかった。ぅうう、全部やり直したい。コテ当てなおして洗いなおしたい気分だが、それは不可能なので見なかったことにする。 写真右側が、今回の改造ターゲットとなるRFフロントエンドである。 これは、バーアンテナ側を下にして、RFフロントエンド部を左側に来るようにしてみたときの、RFフロントエンド部拡大写真である。 しかし汚い。見なかったことにする。 ステレオミニプラグのホット側は、LRがパターンにより短絡されている。外部アンテナが繋がれていないときは、「ロッドアンテナへ・・・」と書かれた端子が外部アンテナ端子内部でステレオミニプラグのホット側に接続され、RFフロントエンドへ接続されるような構造になっている。外部アンテナが繋がれると、このロッドアンテナ側の接続は外部アンテナ端子内部で切断されるようになっている。 しかしながらこんな適当な実装状態なので、静電的に結合が残り、アイソレーションは悪いと思われる。事実、外部アンテナ端子にプラグを差した状態でも、ロッドアンテナにリード線を付けるとラジオから「カリカリ」と音がする。 「外部アンテナ端子外部導体側」と示してあるランドは、どこにも接続されずに浮いている。 この周辺を簡単に回路図にしてみた。 図中赤で書いた部分が、今回の改造により増設されるラインである。回路図的にはコンデンサを介さないで、いきなり直流的に接続しても問題なさそうに思えるのであるが、何があるかわからないため念のために0.02〜0.1マイクロ程度のコンデンサで高周波的に落とすこととする。 用意するものは、0.1マイクロファラッドの積層セラミックコンデンサ。基板の裏に実装するので、なるべく小さいものが望ましい。というか、大きいと入らない。 実装箇所は写真の左。実装後の状態は写真右だ。容量が適当なのはご愛嬌。まぁ、高周波的にローインピーダンスであれば容量はラフで構わない。 コンデンサが2個実装されているのは実はわけがあって、はじめは、C1のみ実装してみたのだ。したらば、相当良い感じではあったものの、どうも303WA-2とは思えないノイズ感が残っていて、いろいろ検討した結果どうもあの基板上部のグラウンドラインは、高周波的に遠いグラウンドかもしれないね・・・って結論になり、急遽あとから増設したのがC2のラインだ。 C2は入力保護用のダイオードのグラウンドに直結されており、おそらく高周波的にはここが一番近いグラウンドだろう。はじめから気が付けよ俺って感じではある。 C2増設により、KK-S500の戦闘能力はグッと高まったことは、言うまでも無い。 なので、もし仮にもいらっしゃらないとは思うが追試されるかたが居れば、実はC2だけ実装すれば充分な効果が得られると思われる。正直C1は不要だ。しかし、せっかく付けたものを外すのも悔しいので、私の場合はあえて付けたままにしている。 C2がダイオードの端子を越えて接続されている件については、どうもあのダイオードのグラウンド側はいまいち心もとない気がしたので、少し遠いがしっかりしてそうなランド端にC2を接続している。腕に覚えがある同志はもちろん、ダイオード足直結でも全くOKである。 チューンナップの追加部品の実装を終え、再組み立て途上の状態。 スピーカーケーブルと電源ラインの配線は、必要充分な太さ(細さ)の線にリワークし、取り回しも少し改善。このリワークにより、再組み立て時の配線材による不要なストレスをかな〜り軽減することができる。 今回の改造により、同軸給電の外部アンテナを接続してもぐっと良好な受信状態を確保できるようになったことは確かだ。しかし、実際どの程度のインピーダンスで結合するのが良いのかは、そこまで回路を追っていないし、追う気もないので不明である。 ロッドアンテナが接続されるぐらいのラインなのだから、かなりハイインピーダンスかもしれず、50オームでやってくるアンテナの場合、インピーダンス変換するとよりグッドな受信状態になるかもしれない。このへんは、おいおい追試してゆきたい。 さてと今後は、KK-S500に秘められた中華ポテンシャルがどの程度なのか、じっくりと使い込んでゆきたい。 |
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