■オペアンプ1個と電界効果トランジスタ1個で作れる簡単放射線検出器 / かにこむ青木

2012年 4月21日:更新
2012年 4月12日:開設
かにこむ 青木康雄


注:本コンテンツ中に出てくる「ポケットガイガー」「ポケガ」とは、radiation-watch.orgが企画販売するスマートフォン接続用の線量計「PocketGeiger」(Type-1)のことを指しています。2012年4月より秋月電子で取り扱いのはじまった「ポケットガイガーキット」とは異なりますのでお間違いなきよう。


シンチレーション型線量計を作り始めたときは、自作検出器の動作確認にポケガを使っていたのですが、ポケガは「安価」に「正確」な「線量測定手段」を世間に提供することを目的として設計製造されているものなので、実験プラットフォームとして見た場合、性能限界が低いことは確かです。

ポケガはガンマ線のPD直撃波を検出できさえすればよいのでそのような回路仕様になっているのですが、ポケガの検出器をシンチレーション化してさらに性能を追い込もうとした場合、S/NとOPAMPの速度が問題となってきます。PDからの電気信号は、ガンマ線のPD直撃波パルスに比べて、シンチレーターの発光を捕らえたPDパルスのほうがはるかに微弱なんですね。
私自身、ポケガ基板で自作検出器を使い、ガンマ線のエネルギーレベル分離(= 核種同定っぽいこと)を試みたのですがどうもうまく波形が分離できず、ためしに少し高速なOPAMPを使って回路を作ってみたらこれがなかなか良好な性能を示しました。

ここでは、そんな自作OPAMP回路をご紹介したいと思います。フロントエンド全段ディスクリートで起こした超ローノイズチャージアンプもあるのですが、部品入手が超困難なのでまずは「今でも」容易に入手できる部品だけで作ることが出来る、少しだけ高性能な回路をご紹介します。

部品代は、ケース除けば千円しないぐらいです。どうです? お安いでしょ?

なお、これらアンプ回路については日々実験を繰り返しており、回路定数の変更等も頻繁に行っています。今後、簡単で、もっと性能のよい回路が見つかれば、随時更新していきます。


本コンテンツを書き終えて公開しよっかな~なんて思っていた矢先(4/12 の夕方)、新規に激しく実験してみたい回路が発生してしまったので、将来このアンプ回路は大幅改定される可能性があります。

「放射線回路とシステム」(昭和50年6月25日初版 定価2800円)というこの本、絶版で古本屋さん巡りしても見つからず、オンライン本屋さんでたまにhitしても3万4万はアタリマエ。『1万円以下でどこかにないかな~』と、いっつも頭の片隅においておくモードで日々生活していたら遂に発見! 速攻保護しました。

まだ、ぱらぱらぱら・・・と、見ただけですが、それだけでも今まで自分が作ってきた放射線測定回路を全部作り直したくなると思うだけのインパクトがあります。じっくり勉強します。

というわけで、この本を一通り読み終えるまでいったん公開を延期しようかとも思ったのですが、そんなこと言ってたらいつまで経っても公開できないので、「現時点でのbetter版」ということで、公開することにしました。

勉強してもし新規に回路を起こすようなことがあれば、またご紹介します。



■電池大食いバーブラウンOPAMP+J-FET 回路

アナログ回路ってお金かけようと思えばいくらでもかけられるので際限なくなっちゃうのですが、ここでは、今まで私が実験した中で、簡単に作れてコストパフォーマンスが良好だと思われる回路をご紹介します。

もちろん他にもあちこちのWebや書籍、製作記事等に、もっともっとよい回路があると思いますので、あくまでも参考以下程度、「ふーん、こんなの作っているヤツも居るんだ」程度にお読みいただけると嬉しいです。
とは言えこの手のOPAMP回路はだいたい相場が決まっていて、みな一見おんなじような回路になります。ここでは、そんな回路を組む際に注意すべき点などについても触れたいと思っています。

本回路のことを、以下、バーブラウンアンプと呼びます。


■ポケガ基板にFETを付けたらどうなるのか?

バーブラウンアンプは性能はそこそこですが、とにかく廃電池の山があっという間に出来上がります。家で使うときは外部電源でなんとかするとしても、外で使うときはどうしようもありません。
そこで、ポケガ基板に再び登場いただき、これにJ-FETバッファ回路をつけるとどのぐらい性能upが期待できるのかを実験してみました。


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