私が通常、Webに掲載する実験報告等のスタイルは、口語体で雑談混じりのコンテンツなのですが、さすがに最近いろんなことに手を出し過ぎてあっぷあっぷしてきました。
申し訳ないですが取り急ぎ、簡潔に行きます。そのうち時間ができたら加筆修正します。
こちらで紹介している自作線量計を使っています。
今日現在でまだまだ現在進行形の案件なので、今後も随時更新されます。
食材の放射性物質濃度を測定しようと思うと、それは相当微量なものになるので、極力自然放射線や福一爆発でばら撒かれた人工放射線などの、測定対象外の放射線を排除する必要があります。
以前、総放射性セシウムで 400 Bq/Kg 程度の汚染があることがわかっているお茶っ葉に、堀場Radi PA-1000 を当ててみたのですが、0.005~0.007 uSv/h 程度の上昇があるかどうか? と言った感じでした。
安く上げるには鉛ブロックを買ってそれを積み木ならぬ積み鉛すればいいのですが、安定した実験環境が欲しかったので、ここはいっちょ、思い切って左図のような鉛容器を特注しました。
とは言ってもいきなり特注したわけでは無く、はじめのうちは手持ちのオーディオ用の防振用鉛板でいろいろ予備実験してみて、「これならいけるだろ」という感触をつかめたからこそ特注判断したのですが、予備実験の内容についてはまとめている時間が無いので割愛します。
発注先は、野方電機工業さん。見積も迅速だしたいへん丁寧な対応をしていただきました。お世話になりました。今後ともよろしくお願いいたします。
蓋はありません。蓋は、オーディオ用の鉛板(12 mm 厚の 100 x 200 mm)が10枚ほどあるので、これを重ねて使います。
鉛は直接触ると手が黒くなるのでちょっとイヤなのと、娘への万一の影響を考えて、地金に直接触れないように厚紙を巻いてしまいます。こんな感じです。
鉛の毒性については私自身はあんまり気にしていないんですけどね。子どものころは近所を流れていた多摩川でハゼ釣りするのに「噛み鉛」「板鉛」という鉛で出来た錘を歯でガジガジ噛んで釣り糸に付けたりしていましたし、なんてったって小学生のころから電子工作で半田を持つわ溶かすわ蒸気を吸うわしているわけです。
実際どうなんですかね人体に与える鉛の害って。私もこれからやってくるのかな・・・
右の写真は測定中の様子。上に乗っかっているのが蓋代わりのオーディオ用の鉛板です。
この鉛遮蔽容器内に堀場Radi PA-1000を入れてみると、0.008 uSv/h 程度の線量を計測します。ウチの空間線量が 0.060 uSV/h ぐらいですから、ざくっと 1/8 ぐらい。ほぼ、計算値通りです。
放射線測定器のたろうまるさんから、実にナイスな鉛遮蔽容器が発売されました。こちら。
いろいろと書きたいことが山ほどあるのですが、とにかく今は時間が無いのでまたあとで(ってその割には雑談が相変わらず多い気がするがまぁ気のせいでしょう)。
手元にある 137Cs 密封線源を使って、ガンマ線計数効率をざくっと調べてみました。
鉛遮蔽容器内に線量計を入れます。線量計の検出器があるあたりの上部を一部だけ開放し、この上空 30 cm のところに137Cs 密封線源を置きます。
この密封線源は、9250 Bq の放射能を持ちます。
自作線量計の検出器は、10 x 10 x 10 mm のCsI なので、これの投影面積は、1 cm2です。
面倒なので、1 Bq = ガンマ線 1 コ/秒 放出されるとします。
137Cs 密封線源から、四方八方に万遍なくガンマ線がばら撒かれていたとした場合、検出器が受けるガンマ線数は:
1 / 半径30cmの球体の表面積 x 9250 = 0.818 個/秒 = 49.08 cpm
です。
実験日時:2012年 5月14日 20時58分~ 23.1度 / 48%
iPod touch Gen4 + ポケガPro 1.18。
無感時RMS = 1.70% ぐらいなので、閾値 = 8.0% に設定。
密封線源無し :19.82 cpm (25分間の測定)
30cm上空に密封線源:33.13 cpm (16分間の測定)
カウントできたガンマ線:13.31 個 (計数効率 27.1 %)
ウチはマンションなのですが、24時間換気システムがあります。2011年3月11日の東日本大震災発生後、福島第一原発全電源喪失の報を夕方受けた直後に24時間換気は停止し、換気口に外から目張りしました。
で、翌4月下旬ぐらいから再稼働させたのですが、去年の大掃除で取り外した24時間換気口のフィルタを、ベクレルモニタ(ATOMTEX社製AT1320A)で測ってみたら、しっかりセシウムを吸着していました。
放射性セシウム合計で、3780 Bq/Kg。但し、検体量が 12 g しかありませんので、総ベクレルとしては、3780 x 0.012 = 45 Bq です。また、検体量があまりにも少ないので、3780 Bq/Kgという値自体も目安でしかありませんが、まぁ、参考にはなるでしょう。
これを鉛遮蔽容器に入れて、測ってみます。
実験日時:2012年 5月11日 11時37分~ 20.7度 / 27%
iPod touch Gen4 + ポケガPro 1.18。
無感時RMS = 1.65% ぐらいなので、閾値 = 8.0% に設定。
検体無し:13.54 cpm (13時間13分01秒間の測定)
検体有り:17.43 cpm ( 1時間46分01秒間の測定)
ガンマ線上昇:3.89 cpm
さてここからが問題です。
今回の検体は、密封線源のような点線源では無く、無視できない大きさの体積を持ったものです。
このモデルで、検出器が検出したガンマ線数から、検体が持つ放射能を計算するのはちょっと大変そう。この課題は別途考えるとして、今回は、極めて乱暴な仮定のもと、「検出されたガンマ線は全部放射性セシウム」「桁が合ってればOK」ぐらいな感じで試算してみます。
乱暴な仮定:検体を点線源とし、検出器との距離を 3.5 cm とする。
右の写真が検出器と検体(24時間換気口フィルタ)の位置関係ですが、乱暴ではありますがまぁ 3.5 cm って感じはそこそこリーズナブルかな? って感じですよね。
3.89 cpm = 0.0648 cps
計数効率 27.1 %
より:
0.0648 / 0.271 x 3.5 x 3.5 x 3.14 x 4 = 36.79 Bq ・・・検体が持つ総ベクレル
検体重量:0.012 Kg なので:
36.79 / 0.012 = 3065 Bq/Kg
なんと! ベクレルモニタでの測定値が 3780 Bq/Kg。それに対して 3065 Bq/Kg はちょっと出来過ぎな数値な感が満載で、ただのまぐれである可能性が高い雰囲気だなぁ・・・
引き続き検体数を稼いで再現性を見る必要があります。