R-D1ロシアンレンズ試写
2004年10月7日 青木 康雄 / master@kani.com
補足 以下の画像は、公開直後から「ずいぶん黄色いですね。なんでですか?」という質問が多発したもの。 黄色いのは正常で、前書きにも書いたとおり、照明が5000Kなところに、カメラのWBが曇天(たぶん8000Kぐらいか?)固定で写したので、黄色くて正常なのである。 私は、特にレンズなどの個体差を見るときのテスト撮影の場合は、多少ずれていたとしてもWBは固定で、かつ、白がちょっと黄色っぽくなるぐらいの余力を持った白に写るようにしたほうがよいと考えている。まぁいろんな理由があるのだが、これが私の流儀だ。 しかし、どうにも世間一般には受け入れられにくいもののようで、かつ、へんな誤解を生じかねない勢いだったので、急遽WB10月9日未明、デイライトで撮影した画像と入れ替えたために、無用と化した画像である。 でも、ひょっとすると私の流儀を解するひとが居るかもしれないので、少しの間残しておくこととした。 レンズの距離計連動具合の正確さと、ボケ味を確認するため、絞り開放と、絞りF8の写真を掲載する。 開放F値はレンズでそれぞれだが、F8でのシャッター速度は、だいたい1/15前後であった。 カメラの撮影モードは、JPEGのH。ホワイトバランスは、曇天固定、ISO200で撮影した。 |
画面表示用サイズ画像(800x532) 絞り開放撮影画像 画面表示用サイズ画像(800x532) 絞りF8撮影画像 |
フェド沈胴50mmF3.5 ぱっと見昔のライカ沈胴レンズっぽい外観であるが、エルマーとかズミターと比べたら、その作りは比べようもないほど安っぽい。実際安く入手できる。 しかし写りはどうだ。ロシアンレンズの常で距離計連動精度が低く、若干前ピンだがなかなかいい味出していると思わないか? F8まで絞れば結構いい線行っていると思う。 このレンズ、$40 USD程度で入手可能なことを考えれば、そのレトロな外観といい、かなりお勧めである。 |
画面表示用サイズ画像(800x532) 絞り開放撮影画像 画面表示用サイズ画像(800x532) 絞りF8撮影画像 |
ジュピター8 50mmF2 とにかく写りを見て欲しい。はっきり言って冗談抜きでお勧めレンズだ。 ツァイスのコピーと言われているが、光学設計に詳しくない私はどこまでがどうなのかまるでわからんが、よく写ることだけは間違いない。作りも、ロシアンレンズの中においてはかなりまともなほうではないだろうか。開放から結構使える性能を持ったレンズは、F8まで絞ればまさにギンギンである。 このレンズも、程度によるが$50 USDあれば使えるものが手に入る。私の好きなレンズのひとつ。 前玉のコーティングの色も、独特の深い青色で、まさに北欧の美女の瞳のごとし。見ていて吸い込まれそうな輝きである。 |
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名称不明だけど、フェドの5cmF2.8 なんかロシア語でレンズ名が書いてあるのだけど、ロシアンであるということ以上私にはよくわからない。 あまりどうということは無い無難な写りであるが、3千円で入手したことを考えれば、ロシアンレンズを知るという上では充分満足なものである。 |
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インダスター 53mmF2.8 上のレンズと非常に似た形状で、レンズ構成も同じような感じに見えるが作りはかなり精密感が向上している。少なくとも、レンズを振っても、かちゃかちゃ音はしない。 その絵は非常に端正で、色も上のレンズに比べ、寒色系である。F8まで絞ったそのシャープ感は今でも充分使えるレベルではないだろうか。ジュピター8に匹敵する性能である。 値段もやや高めで、ジュピター8と同じぐらい。 しかし53mmって中途半端な焦点距離はなぜ? |
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キヤノン50mmF2.2 キヤノンLマウントレンズとしては最新のもの。キヤノン7と同じ時期に販売されていたレンズであるが、日本国内ではあまり見かけないマイナー品種。また、キヤノンのLマウントレンズだと、F1.4とか1.8がメジャーなゆえに、たまに店頭で見かけると結構な安価で売られていることもあり、そんなときは同じレンズを何本持っていようが即ゲットである。 写りはまさに質実堅実。開放でも全然OKだし、F8まで絞れば現代レンズとも互角に戦える。 私の好きなレンズのひとつである。 |
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キヤノン 50mmF1.4 非常に有名。日本を代表する、Lマウント高速レンズのひとつである。 今回の試写では、唯一F2を切る明るさを持つこのレンズ、かにこむラボの照明環境下でもその開放F値の威力はすごく、ひときわ高速でシャッターを切ることができた。 開放時には、まさに紙一枚の被写界深度であろうが、ピントもぴったり。距離計連動精度もばっちりである。 F8の画像はシャープ感も問題なく、まさに現代風ともいえる写りであるが、その写りがあまりにも優等生すぎて、なんとなく一歩引いてしまうレンズである。 めいちゃんの立体感というか、なんというか、空気感も少ない感じがする。平面的っていうのかなぁ。 ゆえに実戦で使うこともあまりなく、なんとなく気が引けるレンズである。 性能はもちろん優秀で実戦で使うにも全く問題ないのであるが、昨今なぜか相場が高めに推移しており、日本で程度のよいものは4万円以上ってのも珍しくない。 たしかにそれだけの価値があることは認めるし、作りもしっかりしていてあと30年は使えるだろう。が、ロシアンレンズなら同額で10本買える。 ここがロシアンの魅力のひとつでもある。 |
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ズミター 5cmF2 製造番号からすると、1949年製造のもの。 この独特の空気感というか、場の雰囲気のようなものの描写はどうやって得られるものなのだろう。 う〜ん。 |
画面表示用サイズ画像(800x532) 絞り開放撮影画像 画面表示用サイズ画像(800x532) 絞りF8撮影画像 |
エルマー 5cmF3.5 これも製造番号から言うと、1949年だけど、上のズミターと比べると設計も製造も古いのであるが、むしろ現代的な写りっぽい感じがする。おそらく私が所有するもっとも古いレンズである。 開放F3.5は確かに収差的には無理なく有利だけど、それでもこういう写りを見ていると、写真を撮ると言う目的から見た場合、光学性能は50年前に完成されていたと言っても過言では無いと思ってしまう。もちろん、最近のデジカメに最適化された光学系という世界はあるだろうし、携帯電話みたいな特殊な事情で設計しないといけない光学系は、それ専用の独自のノウハウが重要だとは思うけど、でも、この半世紀、本質的にはなにが進歩したのだろうかと改めて考えさせられるレンズである。 光学設計屋さん、勝手なこと書いて申し訳ない。 |
画面表示用サイズ画像(800x532) 絞り開放撮影画像 画面表示用サイズ画像(800x532) 絞りF8撮影画像 |
ミノルタ Mロッコール40mmF2 あんまりにも有名なので写真無し。 私が銀塩時代、M3と一緒に買ったズミクロンとともに常用していた準標準レンズである。 もともとはミノルタCLE用のレンズである。以前、ミノルタCLEを使っていたときに、その描写にすっかりほれ込んでしまった。同じCLE用の90mmも28mmも使っていたが、この40mmがとにかく好きだった。 その後、なんともあほなことに、この貴重なCLEとレンズ3点セットを手放してしまったのだけど、40mmだけはどうしても忘れることができず、その後レンズのみ再入手した。 40mmという画角は私の生理にとてもあっており、R-D1でも標準装備レンズとして使おうと思っているものである。同じ画角のお気に入りカメラとしては、ローライ35というコンパクトカメラを持っている。ローライ35も銀塩時代は常用お散歩カメラであったのだが、デジカメメインになるとともに、隠居ったままになっている。 私の言葉で言われてもらえば、Mロッコール40mmF2の写りは、開放ではやさしく、しかし芯がある。気持ちを豊かに、おおらかに写真を撮るときは開放。 しかし、絞ると、開放にあったやさしさに厳しさが加わり戦闘モードとなり、猶予ならないお散歩スナップの時などにうってつけの描写になるのである。 私にとっては、なんともいえない安心感が漂う描写であり、使っていても絶対の信頼を置くことができるレンズである。 もちろんお気に入りのひとつであり、性能に比して結構安いと思う(3万円しないよ)ので、誰にでもお勧めできるレンズでもある。 |
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