1998年12月31日
娘も一歳半になった。自分の子供が家族に増えるということは、かなりインパクトのあることであるということが、自分が実際に親になってみてよくわかった。これは、私個人に対してもそうだし、今まで妻と二人だった家庭に対してもそうだ。
今にして思えば、唯がこの世に生まれ出る前に独立し、新しい生活への第一歩を踏み出しておいてほんとうによかったと思う。以前から漠然と考えていた独立の決意が完全に固まり、行動に出るきっかけになったのは妻の妊娠が明らかになったその日であることはどこかで触れたが、この直感に近い決断は正しかったと、心の底から思える。
『結婚したら落ち着くかな』と独身時代は思い、『子供ができたらかわるよ』と結婚した後はみなに言われたが、振り返るに、私はいつも、私のままのようだ。結婚した後に加入した生命保険を唯が生まれた後に再検討し、解約して別組みしたり、手元にあるすこしばかりのお金の残量を把握しつつ生活したりなど、配慮は増えたと思う。運命をともにする家族が増えたことは確かだ。が、基本的には旅芸人的スタンスは変わりないようである。
ある意味では今年は安定していた一年だったと言える。とびまるソフトで新作をリリースできなかったのは残念であるが、歯医者さんプロジェクトは着実に進行しているし、また、趣味の面でもラジオ少年復活を果たし、趣味を同じくする多くの人たちと知り合うことができた。また、(株)デジタルプリントの常務取締役になり、多くの時間をデジタルプリントの事業ために有効に使った。
これら一連のことは、私の今後の人生においても大きく関係しつづけることばかりだ。家族、仕事、趣味。これらバランス配分をよく考えて、自分の限られたリソースを最大限活かせるように充実した日々を過ごすことが、今後の課題だろう。
分野にとらわれず常に新しいことに目を向け、自分の手で実験し、自分の目で確認し、うわべだけでなく本質を見抜けるような観察力、洞察力を身につけるべく、日々修行を続けていきたい。本質とは意外とシンプルなもののハズだ。
ともすれば平穏な日常に埋没してしまう貪欲さ。常に自分に自分で帰還をかけつつ、自分の道を見据えていくことを忘れないようにしたい。
かにこむ扉頁へ